第22章 二つ島~試練~
それから、数時間後。
着岸したモビーディック号の船内は静かだった。
白ひげは元二番隊隊長が営む温泉旅館に滞在するために夜島へ向かった。
その警護には隊長、副長が主に当たる。
本船の警備は、クルー達が主だ。
が、白ひげの縄張りになってから一度も海賊の襲撃もなく、海軍も来ない二つ島は平和だ。
常とは違い、必要最小限の警備、警護に当番以外は皆一様に長期休暇状態だ。
二つ島はログが溜まるのに約一ヶ月を要する。
ある者は古傷の療養に夜島へ、
ある者は、久々の陸にテントを張り過ごす。
もちろん、
日頃の欲を発散する者、
やはりモビーが恋しい者、
皆が好き好きに過ごしていくのだった。
夜島の温泉旅館。
白ひげの警護当番のマルコとサッチは苦笑いを浮かべていた。
「あの、小便くさい餓鬼共が隊長だもんなぁ」
「グララララ~お前ぇより、ずっとしっかりしてらぁ」
「ひでぇなぁオヤジぃ、まぁ、でもいい面するようになったじゃねぇか」
言いながらサッチの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「ぎゃぁ~!!ユージン隊長やめてっ」
サッチが必死に髪型を守る。それを横目に、いつ自分にも被害が降りかかるか戦々恐々のマルコ。
この元二番隊隊長ユージンが白ひげ海賊団を辞めたのはもう10年以上前の話だ。
このユージンという男、とにかく遊ぶのが大好きな厄介な男だった。
『お遊びが過ぎる』と歳三が拳骨を食らわせたのも一度や二度ではない。
二人にも、ろくでもない遊びを数多教えた、いや、仕掛けられた、が正しいだろう。
寝込みにロケット花火を点火されたこともある。
食事に催淫剤を入れられ、自慰では治まらず、一晩中苦しんだこともある。
風呂に肉食魚を入れられたこともある。
危うく、男にしかないモノを食われかけた。
その中でも衝撃的だったのは女遊びだった。
マルコが童貞を卒業したのは、まだ少年だった頃。
それはいい、経験だった、が。
ユージンは性においても、ろくでもない遊びを教えてくれた。
SM(どちらも経験してみろと言われて放り込まれた)。
乱交パーティー(知らされずに、連れて行かれた)。
処女も熟女も・・・男(この時は必死で逃げた)も体験させられた。
サッチとともに、本番を見るだけの店に連れて行かれた時は地獄だった。
そして、ユージンはマルコとサッチの性癖を確実に悪化させ、把握し、それをネタに遊んでいた。