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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第21章 半端な覚悟ではない


“・・・?”

胸元に重みを感じたマルコは僅かに意識を浮上させた。
同時に耳に聞こえ始める鳥のさえずりや、早朝独特の空気感がマルコを包んだ。
“朝か”と働き始めた頭が回転し始める。
沙羅は眠っているだろうか、そう思いながら薄らと、目を開けた。
その間も胸元には、僅かに重みを感じつつ、不思議と違和感はない。

“・・・”

ベッドにいるはずの沙羅がいない。
目線だけを胸元に向ければ、そこには昔は見慣れた光景があった。
予想を裏切らなかったそれに、思わず堪えていたため息がでる。
その振動にマルコの胸元ですやすやと眠る沙羅が、僅かに身動いだ。
「っ・・・」
素肌をくすぐる沙羅の呼吸、髪、肌。
思わず自身の目元を片手で覆った。
誰にも見られてはいなくても、どうしようもないほど顔に熱が集まり真っ赤であろう自分が恥ずかしい。
一体、どれだけ自分を翻弄すれば気が済むのか。
もういっそのこと、このまま抱いてしまおうか。
マルコの頭を過ぎる思い。
だが、この距離を許せるのは昔から沙羅だけ。
沙羅だからこその、この距離感が心地よいのも事実。
「沙羅・・・愛してる」
マルコはそっと沙羅の髪をすくうと、唇を落とした。
「うン・・・大好き・・・」
と、絶妙なタイミングで聞こえた声。
驚いたマルコが沙羅の表情を確認すれば、微笑みともに呟かれる言葉。
「オヤジ・・・様・・・」
「・・・・・・」
一瞬、片眉を吊り上げると、マルコは堪えきれずに笑い出した。
その笑い声と振動に沙羅の意識は緩やかに浮上していく。
オヤジ様が頭を撫でてくれて、『沙羅、好きに生きなぁ』と笑う声に、大好きなマルコの笑い声が重なる。
何て幸せな夢なんだろうか。
夢・・・?
ううん、もっと近くにマルコがいる・・・?
うっとりとした思いのままに沙羅は目を覚ました。
「・・・」
目の前に広がる、誇り。
視線を上げれば、笑顔のマルコがいる。
沙羅は目を瞬かせた。
やはりこれは、夢のようだ。
それを確かめるように、沙羅は体を起こすとマルコの頬に触れた。
「・・・」
「何してんだよい」
微動だにせず、半眼を向けてきたマルコに沙羅の動きも止まった。
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