第3章 偉大なる双璧
その夜、すっかり回復したマルコ、サッチの復活の宴が開かれた。
その宴の喧噪から離れて、主役の二人はモビーディック号の手摺に寄りかかっていた。
「結局・・・騒ぎたいだけだよな」
サッチの言葉に『クククっ』と笑って肯定するマルコ。
「なぁ、マルコ・・・」
言葉尻を濁すサッチに、マルコは無言で先を促した。
二人の視線はお琴の三味線に合わせて踊る沙羅に向けられていた。
「お前、知ってんのか?」
その主体のない質問に対して、マルコが聞き返すことはない。
お互い、生死を彷徨うほどの大怪我をしたのはわかっていた。
そして、それが異常に早く治癒したことも。
「何者なんだろうな・・・」
その会話の間も、楽しそうに笑う沙羅の声が二人の元に届く。
「知らねぇよい、あいつが・・・」
「?」
「沙羅が言わねぇなら、それでいい」
「そう、だな!・・・」
サッチは、マルコの言葉に同調すると、優しく笑った。
「なぁ・・・」
そして呟くようにぽつりぽつりと言葉を繋げた。
「守ろうぜ」
「!あぁ・・・」
「強くなりてぇ・・・」
悔しさを滲ませながら。しぼり出された言葉。
「よい・・・」
マルコもまた、頷くように言う。
強く、なりたい。
誰にも負けないように。
大切な家族を、
沙羅を守るために。