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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第20章 忘れられない女


「ぁあ~、・・・大丈夫か?」
沖に戻してよかった、そう思いながら腕の中の沙羅に声をかけ、そこで、ぴくりとシャンクスは体を固まらせた。
背中に感じる慣れ親しんだベッドの感触と腹部の辺りに感じる柔らかな感触。
恐る恐る目線を下に向ければ艶やかな黒髪が目に入った。

“!!”

見てはいけなかった。視認してしまえば尚更鋭敏になる自身の感覚をシャンクスは必死に抑える。
「ごめん、シャンクス・・・」
そんなシャンクスの異変に気づくことなく、ゆっくりと顔を上げる沙羅。
シャンクスの目に、瑠璃色の瞳が映る。
「っ・・・、沙羅、悪いがすぐに退いてくれ」
湧き上がる衝動を押さえ込むように、息を飲み込むと努めて冷静にシャンクスは言った。
「!ごめんなさいっ!シャンクスっ、私重くって」
が、言いながら体をどかそうと慌てた沙羅の動きにまでシャンクスの体は反応してしまう。
「っそうじゃねぇ・・・重くねぇ、ただ・・・」
シャンクスは無意識に自分から離れようと力を入れ始めている沙羅の手に自身の手を重ねた。
「?」
瑠璃色の瞳が不思議そうに瞬いた。
「この体勢で手を出さない自信がない」
「・・・っ!!」
その意味を理解した瑠璃色の瞳が震えるように伏せられ、頬は真っ赤に上気した。
その光景に押し倒したくなる衝動が湧き上がる。それでも重ねてしまった手をずらして、沙羅の手を解放したシャンクス。
すぐに離れるだろう、そう思ったシャンクスの手に今度は沙羅の手が重なった。
「・・・沙羅?」
重ねられた手は微かに震えている。
重なったままの体は動く気配がない。
重ねた視線にシャンクスは息を止めた。
「・・・」
瑠璃色の瞳が、シャンクスを見つめている。
戸惑い、恥じらい、迷い・・・そんな感情が浮かんでいるその瞳。
人としては好かれていても、男としては好かれていないことは十二分に理解している。
だが、今の沙羅は、シャンクスを誘っているように見えるのは気のせいだろうか。
「っ」
そんなシャンクスをさらなる衝撃が襲った。
先ほど起き上がるためにベッドに置かれた手がシャンクスの左胸あたりに触れた。
沙羅の顔は真っ赤になり、瑠璃色の瞳は嘆願するようにシャンクスを見つめていた。
「・・・」
ごくりとシャンクスは咽を鳴らした。
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