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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第20章 忘れられない女


もし、
この場にその凄さがわかる者がいたならば、
その者は冷や汗をかかずにはいられなかっただろう。
もし、
この場に白ひげがいれば言っただろう。
『面白ぇじゃねぇかぁ、グラララ~』と。
しかしながら、ここには覇気をその人物が持つ色として見ている沙羅とわざと残された大佐のみ。
「お、お前・・・まさか・・・」
目にも鮮やかな赤い髪、左目に走る特徴的な三本の傷跡。
かちかち・・・と大佐の口から恐怖に震える音がなる。
噂には聞いていた。
まだ旗揚げをしてから、恐らく数年の若い海賊団の中に覇王色の覇気を操る奴がいると。
その海賊はまるで遥か昔から海賊をやっていたかのように海軍のことも熟知していると。
その強さは未知数。
危険につき見つけた際は、中将以上に連絡し捕縛するようにと通達がでていた。
その男の特徴がそれだった
「まさか、何だ?」
剣は抜かれていない。
だが、滲み出す怒りは凄まじく、大佐は痛みも忘れて恐怖に震えた。
このままでは殺される。
大佐は助かりたい一心で叫んだ。
「お、俺を殺せば、お前はその女の仲間になるぞ!」
「!!」
その言葉に沙羅の顔が、足が凍りつく。
だが、沙羅が認めずとも、すでに彼女を仲間だと思っているシャンクスの怒りは収まらない。
「だが、俺を助けてくれればお前はこの場にいなかった、そう報告してやる、どうだ?」
「海賊が海軍びびってどうする」
シャンクスが足を一歩進めた。
「ま、待て、知らないのか?!そいつは“希少生物”だ、世界中から狙われている」
「生物だと?・・・」
まるで人間ではないと言わんばかりのもの言いに、シャンクスは怒りを増大させた。
それに気づいた大佐は慌てて続けた。
「海軍からも、海賊からも、世界政府からも狙われている、そんな女を・・・」
「関係ねぇな」
これ以上聞くだけ無駄だ。
そう思ったシャンクスは剣を抜いた。
「止めて、・・・シャンクス」
だが、そのシャンクスの前に沙羅は大佐を庇うように立った。
「・・・!!」
剣を持つシャンクスの手が、怒りに震えた。
沙羅の瞳には変わらず憎悪が宿っている。
にもかかわらず、眉をひそめ、唇を噛み締め、それを押さえ込もうとしている沙羅。
そして・・・目元に微かに滲む、悔し涙。
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