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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第19章 告げない愛、告げたい愛


正しく、不死鳥となったマルコが空を翔る。
空を翔る蒼い光は回転しながら、人型に戻り強烈な蹴りをクザンに落とした。

“!!!!”

凄まじい衝撃にクザンの体が島の外に吹っ飛ぶ。
そのまま海に叩きつけられるように落ち、
が、
次の瞬間、
元いた場所に氷となり現れた。
「効いたねぇ~」
氷から人に戻りながらクザンは笑った。
「ウソつけ!」
マルコも不敵に笑った。
「あらら・・・」
クザンは内心驚きながらも飄々と言った。
噂には聞いていたが、まさかこれ程の戦闘力を持っているとは。
そして、そんな桁外れの強さを持っている男が、一人の副長のために出てくる。
それがさらに驚きを増大させた。

誰かが助けに来るだろう、とは思っていた。
副長と呼ばれていた沙羅が、海軍中将に襲われていると伝われば、化け物揃いと言われている隊長達の誰かが来るだろう、そう“期待していた”。
クザンの“期待”
沙羅を殺さず、
沙羅を捕獲せず、
沙羅を苦しめず。
離れる為には名実ともに中将に匹敵する敵が必要だった。
白ひげ海賊団の隊長が出てきたともなれば、
沙羅を殺せなかったことも、捕獲できなかったことも説明がつく。

だが、まさか、この男が来るとは。

賞金は天井知らずに上がり続け、
動物系(ゾオンケイ)、幻獣種の悪魔の実を持ち、
武装色の覇気を自在に操り、
見聞色の覇気をも操る
白ひげ海賊団のNO2と目される男。
不死鳥マルコが来るとは。
しかも、誰も従えずにたった一人で。
一人でも勝てるという自信。
それともNO2としての自負か。

・・・いや、違う。

クザンはマルコを見た。
顔は知っていても、近くで見ることは始めてだった。
胸元に刻まれた誇り。
堂々たる体躯。
気負いなく立ちながら、一分の隙もない構え。
にもかかわらず、“僅かに乱れた呼吸”。
相当焦ってきたのだろう。
冷徹非情、海軍ではそう評されている男が、
息を乱して来た。
沙羅を助ける為に。
それがどういうことか、クザンにはわかった。
わかってしまった。

“まいったな・・・”

どうやら、自分と同じ感情を沙羅に抱いているらしい。
年は十(トオ)程、自分と違うだろうか。
まだまだこれから伸びていくであろう男。
その強さ、気質に嫉妬すらしそうになる。
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