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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第18章 覚悟 


もし、嵐を完璧に避けることができる航海士が存在するとなれば
商人ならば目が飛び出るほどの大金を積んででも雇うだろう。
海賊なら・・・攫ってでも手に入れるだろう。
「・・・」
マルコの眉間に皺がよる。
ただでさえ、あの不気味な海神の歌を真に受けて沙羅を探している者がいるというのに。

その心を得た者は、海の祝福を得る。

“何でだよい”

海神族が嵐を避けられる存在と知れ渡れば、海神族を探す者が増え、沙羅はより一層危険に曝されることになる。
ただ家族を大切に思ってくれているだけなのに。
その思いすら沙羅自身を脅かす物になってしまうのか。
どこにもぶつけようもない怒りのような、やるせない思いがマルコの内から湧き上がる。
「グララララ~」
「?!」
「航海士も廃業だなぁ、マルコぉ」
「よい」
白ひげの言葉に、マルコは何とも言い難い表情を浮かべながら首筋をかいた。
白ひげがわざとそう言ったのはわかっている。
「廃業したら伝書鳩にでもなるか?」
その言葉にマルコが睨み返すも、イゾウは不敵に笑うのみ。
しかしながらその目は語っていた。

“俺達が守ればいい”

沙羅が家族を、嵐から守ってくれているのなら
俺達家族が沙羅を、狙う者から守り返せばいい。
支えあう、家族なのだから。
マルコはイゾウを見て、白ひげを見た。
気負う必要はないのだ。
マルコ自身、決して弱くはない。むしろ世の中から見れば化け物のような強さをもつ。
イゾウ達、家族とて同様だ。
そして世界最強の漢(オトコ)、白ひげ、エドワード・ニューゲート。
マルコ達の偉大な親父。
「嵐を避けるだけが航海士じゃねぇよい」
マルコは一瞬とはいえ、一人で気負ってしまった自身を隠したくて、ふて腐れたように笑った。
「違いねぇ」
それに気がつきつつも、白ひげは何もいわず。
イゾウは同意を示した後、僅かの間、目を伏せると懐から白い書状を取り出した。
表にはイゾウ様と、達筆で書かれている。
白ひげは無言でそれを読むと、マルコに何もいわずに差し出した。
同じように無言で読み始めたマルコの眉間に皺が刻まれた。
書状には、過酷な現実が書かれていた。
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