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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第17章 それぞれの想い


一瞬、マルコは首を微かに傾げた。
時々沙羅は突拍子もない話題を振り、マルコを困惑させる。
他のクルーなら『何の話だ?!』と苛立ちを顕わにするところだが、惚れた弱み。いや、それすらも可愛いと思えてしまう辺り、自分でも呆れてしまう。
何よりマルコの反応で沙羅は話が伝わっていないのを察してくれる。
寡黙ではないが、ぶっきっらぼうなところがあるマルコ。
多弁に語れる質ではない。
サッチに言わせれば『言葉が足りねぇ!』所があるが、事、雑談に関しては、わからなくても仕方ないと淡白なマルコ。
それがまた、マルコ隊長はおっかないと誤解される原因でもあるのだが。
沙羅にとっては恐れを感じる以前に、マルコとのこのやり取りは当たり前のことだ。
違和感すら感じずに『この前、花魁の真似した時に言ってくれた事』
と付け加えた。
その言葉にマルコも思い当たる節があったのだろう。
頷きながら言った。
「サッチに何て教えたんだよい?」
「頑張ったよいって・・・」
そう言いながら少し頬を赤らめた。
その様子を、見たマルコは“くっくく”と笑った。
サッチが知りたいのは、羞恥に耐えて花魁の真似をしていた沙羅の耳に、終わりの合図としてマルコが何と囁いたかだった。
マルコは沙羅を見下ろした。
嘘は言っていない。
だが、本当でもない。
きっとサッチに対しても、その表情で告げたに違いない。
“隠してます”と顔に書いて。
全く・・・つくづく隠し事ができない質だ。
マルコの心に悪戯心が宿った。
「それだけだったかよい?」
屈み込み耳元に唇を寄せ囁けば、急に近づいた距離に驚いた沙羅は、マルコの方を見た。
予想していた反応にマルコは視線を合わせた。
「・・・!」
重なった視線をばっと逸らし、目を泳がせる沙羅。
マルコは楽しそうに目を笑わせた。
泳ぐ視線を感じながら、沙羅に見えるように首筋に舌を這わせた。
「~~~っ!ッルコ」
どうも沙羅に対してだけは、自制が効かない。
好きな女の子のスカートをめくる男の子のように、手を出してしまう。
「忘れちまったなら、思い出させてやるよい」
「ッン・・・マルコ・・・ッヤッ・・・」
沙羅の反応に、体をぞくりとした快感が走る。
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