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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第3章 偉大なる双璧


 あの不思議な一夜から数十日、モビーディックは比較的大きな島に上陸した。
縄張りの島ではないが、比較的治安はいい。
『世界を見せてやりたい』
ロイの希望もあって、白ひげは余程の危険がない限り沙羅を島に下ろすことにしている。
「行ってきま~す、お琴さん、お土産買ってくるねぇ~!」
甲板に出てきた白ひげ達に気づいた沙羅は、手を振りながら大きな声で叫んだ。
「やれやれ、騒がしいねぇ」
口調は呆れつつも、その瞳は柔らかい。
「グラララ、随分懐かれたじゃねぇか」
口調はきついが、根は優しいお琴を沙羅は母のように慕っていた。
対するお琴も、元来の姐さん気質と沙羅の真っ直ぐな性格が功を奏して、今では娘のように可愛がっていた。
「この年になって娘ができるとはなぁ」
無論、歳三も満更でもない。
「そうだねぇ、・・・ところで・・・」
「あぁ?」
普段、言葉を濁すことなど皆無のお琴を白ひげは訝しげに眺めた。
歳三夫婦とは長い長い付き合いだ。
明け透けに物を言うわりに、白ひげや歳三が一度決めたことには一切口を挟まないお琴。
そんな彼女が、言葉を濁すと言うことは何かしら不安があるのだろう。
珍しいじゃねぇかと、白ひげは先を促した。
「大丈夫なのかい?若いのだけで」
小さくなっていく沙羅の回りには、若いクルーが6名程だ。
「グラララァ、確かに、鼻っ垂れどもだぁ」
白ひげは肯定も否定もせずに笑った。
「まぁ、マルコとサッチがいる、どうにかするさ」
代わりに歳三が答えた。
「そうかい、近頃、物騒だからねぇ」
言いながら甲板に迷い込んだ毒蛇を一撃で仕留めると、ぎょっとしているクルーに
『ぼさっとしてんじゃないよ、片付けとくれ』
と残し、去っていく。
「「・・・・」」

“おめぇが、(お前さんが)一番物騒だぁ(だよ)”

二人は笑みを浮かべた。


 上陸してから数時間、モビーディック号に一人のクルーが駆け戻ってきた。
「オヤジ!大変だ!」
甲板にたどり着くよりも前から叫ぶ様子に只ならぬ物を感じた白ひげは、鋭い視線を向けた。
「カイドウの手下がいる!」
「どいつだぁ」
「苦害のガイムだ!」
「!!」
次の瞬間だった。
白ひげが指示を出すよりも早く、歳三は剣を片手に甲板から姿を消していた。
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