• テキストサイズ

海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第16章 決戦のハレム島


“さよなら・・・”

淡い光が途切れる事なく天に昇っていく神秘的な光景は、こんなにもたくさんの者が、ゾイドに命を奪われていた事実を物語る。

“さようなら・・・”

「・・・」
マルコは細い目をさらに細めた。
沙羅が、泣いている。
マルコは気づいていた。
ヒョウが目の前で死んでから、沙羅が一度も泣いていないことを。
今、この瞬間のために泣くのを堪えていたのだと。
泣いてしまえば、
悲しみに囚われて約束を果たせなくなるから。
泣きたいのは自分だけはないから。
ゾイドに苦しめられ、大切な人を奪われたのは一人ではないから。
泣く事は、約束の証。
悲しい魂を増やさないために。
必ず、
ゾイドを
倒す。

“沙羅・・・”

マルコも誓った。
必ず、俺達がゾイドを倒す、と。



その頃、船長室には人影が二つ向かいあっていた。
「グラララ・・・綺麗じゃね~か」
小窓から見えるその神秘的な光景を白ひげと眺める男。
「爪が甘ぇな、窓から丸見えだぁ」
島側の甲板への侵入をわざわざ禁止したマルコを思い出しながら男は言った。
その言葉に白ひげはまた特徴的な笑いで返すと、男の目を見据えた。
「珍しいじゃねぇか、おめぇが一人で来るなんざぁ、なぁ?イゾウ」
「・・・」
男、イゾウが珍しく真剣な表情を浮かべた。
「オヤジ、頼みがある」
その目には“覚悟”が宿っていた。



 一方、とある海の上の上に浮かぶ、黒い巨大な帆船の内部ではヒョウの死を受けて呼び戻された幹部達が騒いでいた。
「ヒョウさんが死んだって本当なの?」
「あぁ、ゾイド様がさっき・・・」
「白ひげ海賊団か、むかつく奴らだ」
「それなんだが」
言いながら配られた写真を手に取る幹部達。
「ゾイド様や、ヒョウが狙っていたのはこの女だ」
「攫ってバラす?」
「簡単に言うな、強いぞ、白ひげの隊長クラスだ」
「じゃ、どうすんだ?」
「この女の弱点を探せ」
「それでどうすんだ?ムサシ」
「・・・」
察しの悪い仲間に苛立つ。
ヒョウとともにゾイドを支えてきた男、ムサシは、ヒョウがいなくなった穴を早くも感じた。
「弱点をついて女を捕まえる、そうすれば不死鳥マルコが必ず動く」
「なに?あいつの女なわけ?」
「そうらしい、じゃ頼んだぞ」
ムサシの言葉に、今までに傍観を決め込んでいた男が口を開いた。
「悪いが、俺は断る」
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp