第16章 決戦のハレム島
「おい、てめぇ、好き勝手も大概にしろよ」
思わず怒鳴る男。
「ヒョウさんが死んだんだ、今回くらい手貸せよ」
「気が乗らねぇ」
「「「っ・・・」」」
苛立つ幹部達。
「俺は面倒くせぇのはごめんだ」
「グレン・・・てめぇ」
殺気立つ男に、グレンは楽しそうに笑った。
「やるのか?俺は構わないぜ」
動じる様子は全くない。
むしろ、戦闘大歓迎だ。
「やめろ、グレン、連絡だけは付くようにしとけ」
「おう!」
ムサシの言葉に“にかっ”と無邪気に笑うと自身が乗ってきた小舟で颯爽と去っていく。
「ムサシさん!何であいつだけ!」
納得のいかない男をムサシは振り返った。
「あいつはゾイド様から自由を約束されてる」
「けどっ!」
食い下がる男にムサシは眉をひそめた。
「逆に聞くが、お前、あいつをねじ伏せられるのか?」
「っ!」
「グレンは戦闘に命をかける、それがあいつの役目だ」
話は終わりだとムサシは席を立ち、会議はお開きとなった。
悪魔王ゾイドの双頭として、ヒョウとともに采配を振るっているムサシ自身、グレンを持て余していた。
自然系の悪魔の実の能力者であり、その力を自在に操るこの男の強さは計り知れない。
その気になれば軍艦ですら一捻りだろう。
“それにしても”
ムサシは先ほど、幹部達に配った写真を思い返した。
ゾイド様は随分と沙羅という女にご執心のようだ。
女に興味はないが、白ひげ海賊団が大事にしているというなら話は別だ。
利用しない手はない。
世の中、強い者が勝つ。
負ける者は、弱い。
俺は負けるのはごめんだ。
ムサシは冷たい目を写真に向けた。