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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第16章 決戦のハレム島


今、確かに沙羅の唇が触れた。
「っ・・・沙羅・・・」
柄にもなく動揺したマルコ。
その耳に、突如気が触れたかのような笑い声が響いた。
声の方向に顔を向ければ、真っ赤に染まった腹を抱えながら体をくの字に曲げながら笑っているヒョウがいた。
「何が可笑しい?」
マルコの言葉にすぐには答えられないほど、笑い続けるヒョウ。
その笑いに嫌な予感を覚えたマルコが足を向ければ、それを制すように手の平を見せて口を開いた。
「ゾイド様がずっと欲していたものが、生きていた」
ヒョウは沙羅を食い入るように見た。
「?・・・何の事だよい?」
「その目、不思議な色の目・・・」
ククク・・・と笑いながら沙羅から視線を逸らさずに見続けるヒョウ。
その狂気を帯びた視線を遮るために沙羅の前に立つマルコ。
だが、ヒョウの言葉は止まらない。
「力の発動で青く輝く目・・・、その目だ、ゾイド様の仰る通りだ・・・」
「・・・!!」
意図を探ろうと頭を働かせていたマルコの視線が突如、忙しく部屋中に向けられ始める。
「もう遅い」
見る者を凍らせるような、凄みのある笑みの口元から溢れ出す血。
それでもヒョウは笑い、急に大声を発した。
「ゾイド様、ご覧になりましたか!?海神族です、きっと“あの足”の娘!!」
「っ?!」
沙羅が反応した。
『あの足とは母のことか?』走り寄ろうとした沙羅の動きを、マルコが制する。
恐ろしく頭が切れ、用意周到な男だ。動揺したまま近づくのは危険すぎた。
何より、この部屋は“監視されている”。
話しかけるように発せられヒョウの声に確信を得たマルコ。
そのマルコの勘の良さ、頭の回転の速さに口惜しさを感じながら、フッ・・・と笑った。
さすがに不死鳥マルコの目の前から、この女を攫うのは無理のようだ。
からくり部屋のボタンを握り締めていた手から力が抜けていく。
もう、力が入らない。
それでも、呪いのように続けた。
沙羅の瞳が感情に揺れ動くのを楽しみ、そしてマルコを見た。
「不死鳥マルコ・・・・・・・・・」
唇だけが動いた。
『その女の死体を抱くがいい』
ニタリと笑い、そこで、事切れた。
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