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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第16章 決戦のハレム島


 三人の顔に緊張が走る。
今、この子電伝虫にかけてくるのは一人しかいない。
「・・・イゾウ隊長!」
小さく叫んだ沙羅は走り出した。
緊急用にと携帯していた子電伝虫。
それが僅かなコールで途絶えたのだ。
余程の緊急事態に違いない。
マルコとサッチも後を追う。

 先程イゾウとルイが入っていった部屋、いや厚いカーテンで仕切られた空間に沙羅は飛び込んだ。
「?!」
そこで沙羅は固まった。
「沙羅?!」
言いながらマルコが容赦なくカーテンを開け放つ。
そこには誰もいなかった。
あるのは黒塗りの床のみ。
マルコはすぐに屈み込み、床を探った。
そこへ、人相の悪い男達を引き連れてオーナーが現れた。
「困りますな、勝手に他の部屋を開けられては、マルコ隊長」
普通なら怖じ気づく所だが、生憎マルコには何の効果もない。
「・・・どこにやった?」
床と床の切れ目を確認したマルコはゆっくりと立ち上がった。
その目には殺気が見え隠れする。
ただそれだけ、たったそれだけで人相の悪い男達は息をのんだ。
もちろんオーナーとて同様だ。
だが、そこは場数を踏んでいる狸親父。
自分が為すべきことは時間稼ぎ、それはよく心得ている。
のらりくらりと言い逃れようとし、そこで悲鳴を上げた。
「ッヒ・・・!」
自分の眼球に突きつけられた短剣。
そして、相反する笑い声。
「逆らわないほうがいいよ、沙羅切れると怖いから」
いつの間にか現れた美少年のような人物、ハルタが手摺に腰かけながら笑っていた。
「俺達家族に手を出したらどうなるか、わかってるよな?」
先程まで、オーナーの目を楽しませていたサッチ。
「早くしろ」
先程から自分を底冷えする目つきで見続けるマルコ。
「・・・」
オーナーは眼球だけを辛うじて動かした。
その先には先程まで隊長達に弄ばれ、自分を興奮させ、可愛らしい声で啼いていた女。
無表情に、自分を見つめ、その目には殺気というには生易しい感情がこもる。
間違いなく、返答次第では自分を殺すだろう。
『切れると怖いよ』
ハルタの声が聞こえた。
今、
危険なのは、
この女。
自分の眼球を脳みそごと、くり貫くか否かを握っている女。
オーナーは覚悟を決めた。
「地下だ、お前達の仲間は地下にいる」
「どうやって入る?」
淡々としたマルコが逆に恐ろしい。
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