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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第16章 決戦のハレム島


 残されたサッチに沙羅の気の毒そうな声がかかる。
「サッチ、マルコとイゾウ隊長に何かしたの?」
二人が意図的にサッチを残したのはもちろん沙羅にも伝わっている。
顔を引き攣らせながら沙羅を振り返ったサッチ。
いくら自分達を無条件に信頼し、性格も穏やかで優しい沙羅でも、いきなり押し倒し抱こうとすれば怒る、いや、パニックになるかもしれない。
それでは計画は台無しだ。
何とか説明しなくては。
サッチはなるべく“自然に自然に”と自分に言い聞かせると沙羅の疑問には答えず、話しかけた。
その時点で、いつもならマルコに振り回され、困っている沙羅に諭すようにフォローしているサッチらしからぬ言動であることにすら気づかない。
それでもマルコやイゾウとは違う、絶対的に信頼をよせる兄の言葉に耳を傾ける沙羅。

 それから数分後、顔を真っ赤にして体を微かに振るわせた沙羅。
「サッチは・・・」
「うん?」
激怒するか泣いて嫌がるかと思いきや、羞恥を感じながらも意外と冷静に話を聞いてくれた沙羅に、ほっとしたサッチはいつもの調子を取り戻していた。
「サッチは・・・そういうことしたことあるの?」
「えっ・・・と」
まさかの、問いに動揺するサッチ。
それは処女を抱いた経験を問われているのか、
それとも複数プレイの経験を問われているのか、
その両方なのか、サッチの頭は忙しく回転した。
そんなサッチにたどたどしい沙羅の言葉が届く。
「あの、・・・は、初めての人をさ、・・・んにんで・・・」
「!!」
サッチは思わず目を逸らした。
その行動を深く後悔したが後の祭り。
「あるのね、・・・」
目に涙を浮かべた沙羅。
沙羅にとっては、まだ未知の世界。
それでも一度はその身を任せようとしたことはある。
あの時の、羞恥、緊張、恐怖、それは今でも体の奥底に残っていた。
そんな初めての行為を、いくらそれを仕事にしている女性とはいえ、複数の男となんて。
まさかそんな行為を大好きな兄のサッチがするなんて。
怒りのような失望のような感情に体が震えた。
「沙羅・・・ちゃん?」
まさかと思うが失神したのでは?と俯いたまま震えている沙羅に声をかけた瞬間、“きっ”と睨まれたサッチ。
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