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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第15章 ハレム島に巣くう闇


“!!”

瞬間、瞳を揺らしてまた真っ赤になった沙羅。
ズズっとドアに寄りかかったまま崩れ落ちる体をマルコが支え、抱き上げた。
「ま、マルコ!」
慌てて降りようと足掻く沙羅を軽々と抱き上げたまま、ドアを開けて言った。
「コイビトだろ?大人しくしとけよい」
「~~~っ」
固まった沙羅に、にやりと笑みを返し歩き出したマルコの心は軽かった。


 その頃イゾウは立入禁止と書かれた場所を探索していた。
各部屋の鍵はかかっていたが気配を探り、鍵を開けるのは朝飯前だ。
物置部屋もあれば、使われていない客室もある。
いくつかの部屋を確認した後、ある部屋でイゾウは足を止めた。
第一印象は綺麗に掃除され何もない部屋。
だが、よく見れば壁紙まで貼り替えられている。しかも新しい物と既存のものが違和感ないよう巧妙に色柄を合わせてあり、それが何カ所にも施されている。
カーペットは、恐らく新品だろう。足裏の感触が物語る。
注意深く見て回るも髪の毛一本すら落ちていない。これだけ徹底的に掃除をするからには、余程後ろ暗いことがあるのだろう。
これ以上探してもは時間の無駄と判断したイゾウは部屋を出た。

“?”

ドアと床に引かれたカーペットの境目に数センチ程の白くて細い“何か”が落ちていた。
何故か引き寄せられるように、目に入ってきたそれを拾い上げたイゾウ。
その直後。
「こちらは立入禁止ですが?」
言葉丁寧だが、威圧的な口調。
直感的に面倒な相手に当たったと思った。
顔を見られる前に倒すか、いや、いっそ・・・物騒な選択肢も上がる。

“?!!”

と、思考を巡らせたイゾウの腕の中に突如、色香漂う女が出現した。
女は口元に人差し指を立て、そのままイゾウの首に腕を絡めた。
そして、背伸びをしながらイゾウの右肩から微かに顔出し背後に立つ男に見えるように言った。
「だからだめ、って言ったのに」
非難するように言うと、イゾウの首筋へと唇を這わせた。
動揺は残っていたが、イゾウも応えるように女の右耳に唇を寄せて何かを囁くそぶりを見せた。
すると察しのいい、いや場慣れしているであろう女はクスクスと色っぽく笑った。
そこまで見せつけられれば、背後の男も察しないわけにはいかない。
「お客様、恐れ入りますがお部屋でお楽しみ下さい」
と淡々と言い放ち、去って行く男。
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