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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第15章 ハレム島に巣くう闇


 いろいろ部屋に不安はあるが、遊びに来たわけではない三人。
イゾウは得意の変装し、ホテルの探索に出た。
見送った沙羅はドアを閉め、振り返ると小さく息を吐いた。
「心配ねぇよい」
イゾウの身を案じているのだろうと思ったマルコは沙羅に言った。
すると首を振り否と答えた沙羅。
「違うの、なんか・・・すごく格好よくて」
ほんのりと頬を染めて言う沙羅。
イゾウはいつも結い上げている髪をさらりと下ろし、スーツにシャツの出で立ちで部屋を出た。
元女形役者のイゾウは立ち振る舞いが美しい。
その何とも言えぬ雰囲気はどこかの御曹司のようだった。
見慣れぬその姿に沙羅は思わず見惚れずにはいられなかった。
そんな沙羅の様子にマルコが嫉妬しないはずもなく・・・。
「マ、マルコ?!っ・・・」
赤く染まった左頬に右手を添え、左手を顔のすぐ横のドアにつく。
そのまま顔を近づけ、左耳に息がかかるように囁いた。
「こっちも行くよい」
「っ・・・」
真っ赤になり逃れようとする沙羅にさらに体を寄せて密着させるマルコ。
「マルコ・・・!」
声を震わせ、やめての意を込めて蚊のなくような小さな声で叫ぶ沙羅。
しかしマルコは止まらなかった、いや止められなかった。
「言ったろい、ここじゃ恋人同士だって」
「~~~っ」
涙目になりながら体の動きを止めた沙羅に、マルコはクククと笑った。
そのまま、左耳に触れるか否かの距離に唇を這わせる。
「っ」
耐えるように声を抑える沙羅。
さらに左頬、首筋へと微かに唇を這わせ・・・。
「っ・・・やっ・・・」
羞恥に耐えきれなくなった沙羅は、震える手で必死にマルコの胸を押し返した。
その力は弱々しいが、マルコをとどまらせるには十二分の効果があった。
押された力そのままに、マルコは体を離すと安心させようと頭を撫でた。
「悪かった、少しやり過ぎたよい」
するとほっとした沙羅は頭を撫でる手に笑顔を浮かべながら言った。
「ごめんね、次は頑張るから」
そして小さい声で『コイビト、コイビト』と暗示のように自身に言い聞かせた。
その様子に思わず笑いながらマルコは言った。
「恋人ならこんなもんじゃすまねぇよい」
そしてイゾウがやるように、わざと親指で沙羅の唇をなぞった。
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