第15章 ハレム島に巣くう闇
西側にいったラクヨウは、花街や娯楽施設を併設した巨大なホテルを見てきた。
残念ながらホテル自体は女、もしくは女連れの男のみ利用可のため、入ることは適わず。
しかしながら、その施設の驚きの享楽ぶりにさすがのラクヨウも唖然としたらしい。
『あれは、沙羅には見せられねぇな』
と、付け加えた。
ナミュールはモビーディック号も接岸している東側を偵察。
悪魔王ゾイドの縄張りではあるが、基本的に海賊は大歓迎の島だ。
様々な海賊船が入れ替わり立ち替わり接岸していたが問題なし。
北西側を見てきたハルタは、気の毒に男に襲われそうになり、相手をぼこぼこにした。
曰く、オカマやゲイの聖地で、近寄るとやばいそうだ。
それぞれの報告を聞き終えたマルコはヒョウについて語った。
その悪意の凄さを体感しているイゾウは僅かに顔を蹙めた。
「ヒョウか、知らねぇな、だがお前を狙ったのか、沙羅を狙ったのか気になるな」
「あぁ、あの悪意は俺に向けられた、しかし、あの目は沙羅を捕らえてたよい」
瞬間、全員が“お前が言うな!!”と内心突っ込みを入れた。
「ヒョウと言う名前、俺も聞いたぞ」
そこへビスタが現れた。
「おせぇよビスタ、女か?」
ラクヨウがからかうように言った。
しかしビスタはそれを軽く流すと遅れた理由を説明した。
ラクヨウと同じく西側に言ったビスタは、サッチが聞いた噂とは少し違った噂を確かめるためにホテルの裏側に回った。
ビスタが聞いた噂は行方不明になった女がホテルの裏側に“出る”と言う話だった。
「で、出るって・・・」
その巨体に似合わずクリエルが顔を引き攣らせば、すかさずラクヨウが手を“恨めしや~”の形にした。
「マジかよ?」
サッチは疑い気味。イゾウはそのやり取りは完全無視し、茶をすすった。
ビスタも信じてはいなかったが、ホテル裏側を張っていた時、耳にしたのがヒョウの名前だった。
話の内容は聞き取れなかったが、電伝虫に話しかける男は『はい、ヒョウさん、いつもの所に』と確かに言った。
「ヒョウとそのホテル、胡散臭ぇな」
「行方不明ってのもなぁ」
イゾウとサッチが言った。
「あまりやりたくはないが・・・」
無言だったジョズが、マルコとイゾウを見た。
「「?」」
「どっちかが沙羅と泊まって探ってくるってのはどうだ?」
一瞬にして全員が固まった。