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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第15章 ハレム島に巣くう闇


 先程の光景を思い返しながら、手配書のファイルを片っ端からめくっていく。

 沙羅を見下ろすヒョウを見た時、先程自分に常軌を逸した悪意を向けた者だとすぐに気がついた。
一瞬、全身を冷たいものが駆け抜けた。だが、下手に刺激をすれば沙羅に危険が及ぶ。
沙羅の持つ海神族の強大な力は間違いなく、隊長達と並べてもひけを取らない。いや、その上を行くかもしれない。
しかしながら、接近戦になれば女である沙羅は分が悪い。
それを補うために、戦闘時は体の表面を水のベールで覆い、肉体的なパワーや体の保護に用いてる沙羅。
多くのクルー達はその事実を知らないが、マルコはそれを知っている。
そしてマルコを信頼している沙羅が平常時、いかに無防備な状態かも理解していた。
もし、ヒョウがその気になれば手を伸ばそうとした沙羅の華奢な腕など簡単にへし折ることができただろう。
だからこそ噴き出しそうになる殺気を抑え、淡々とヒョウを制した。
幸い、向こうもマルコを前にして何かするつもりはなかったらしい。
あの悪意にどんな意図があるのかはわからなかったが、一旦戦闘はお預けだとマルコ自身も感じていた。
ヒョウの名前を聞いたのも、念のためだ。
人のことは言えないが、ゾイドの配下には手配書の出回っている海賊が多数いる。
しかし、その中に目の前にいるヒョウの顔と一致する者はなかった。
あれだけ凄まじい悪意を放ちながら、まさか顔を知られていないわけはない。
だから、ほんの軽い気持ちで聞いただけだった。
にもかかわらずマルコの心は強い警鐘をならした。
どこかで聞いた名前だと。


「何探してんだ?」
帰船したまま、こもってしまったマルコを心配したサッチが様子を見にやってきた。
一瞬サッチに視線を寄越したものの、手配書をめくり続けるマルコ。
しかし、サッチはその態度を気にするでもなく反対側の椅子に跨がり腰を下ろした。
背もたれに顎を乗せて暫し観察した後、まだ開いていない手配書ファイルに手を伸ばす。
「誰を探してんだよ?」
そう言われて始めてマルコは顔を上げて手を止めた。
そして、今日あった出来事を掻い摘まんで話した。
「で、沙羅ちゃんに触った男を探してる、と」
「触ってねぇよい」
微妙な言い間違いを空かさず訂正するマルコ。
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