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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第13章 新世界を一人で生き抜いた女


 沙羅の力に圧倒されたのはハルタも一緒だった。
だが、ただ眺めているのは性に合わない。
素早く回り込み、逃げようとするフェイクとライの前に立ちはだかった。
そしてその後ろは沙羅によって体内から海水を取り除き、能力を取り戻したマルコが塞いだ。
「・・・」
フェイクは再度、能力で軍団を作ろうとした。
「そんなこと、させない!」
空中に漂う水分を足がかりに、一瞬で移動した沙羅がフェイクに海水を浴びせた。
苦しそうに膝をついたフェイク。
能力を発動できず、隊長達に囲まれた二人は潔く白旗を上げた。
戦いが終わったことに安堵し、僅かに隙が生まれた。

瞬間、一発の銃声がフェイクの手から響いた。
自らの頭を撃ち抜いたフェイク。
「フェイク!」
マルコは倒れ込むフェイクを抱きかかえた。
「何でだ!何でもっと上手く俺を殺らなかった」
マルコを本当に殺す気なら、わざわざ手の内明かさず、マルコが自滅するのを待てば良かったはずだ。
なのになぜ、そうしなかったのか。
真面目で気が利くフェイクは本当の姿だったのではないか。そう思わずにはいられなかった。
だが、フェイクは答えることなく、ただ苦しそうに笑い、視線を漂わせた。
「こうするしか・・・すみません、マルコ隊長・・・」
「どういう意味だ!?」
だが、マルコの言葉はフェイクには届かず。
遠くを見上げると、唇が微かに震えた。
『か・・・や・・・すま・・・な・・・』
音にならない言葉を、唇を読んだマルコが拾う。
「おい!待て!かやってのは誰の事だよい?!」
マルコの声が虚しく響く。
だが、答えることなくフェイクは息を引き取った。
「・・・ック」
何も語らず、何も告げずに自らの手で幕を引いてしまった家族に何かしてやれることはなかったのか。
なんとも言いがたい苦い気持ちのマルコの手の平を、沙羅が微かに引いた
「マルコ、島が沈む」
困ったような、申し訳なさそうな表情の沙羅に、頷くとマルコは言った。
「全員船に戻れ!」
その声に走り出すクルー達。
「先に行くよ」
ハルタも走り出す。
微かに震動し始めた島にイゾウも眉を顰めた。
「急げ!マルコ」
不気味な地鳴りもし始めた島に最早一刻の猶予もない。
後ろ髪を引かれる思いで、マルコも走り出した。
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