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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第13章 新世界を一人で生き抜いた女


 同じ顔、同じ姿のフェイクが右にも左にもいる気味の悪い光景にクルー達は動揺した。
しかもどのフェイクと戦い、どのフェイクにダメージを与えているかわからなくなる。
「おい、どんなからくりだよ」
イゾウに動揺はないが、数の多さと混乱したクルーが逆に拳銃の照準を遮り、本領を発揮できない。
「イゾウ!円陣を組め!怪我人を中に入れろい!」
空中から敵を蹴散らし、指示を出す。
「任せろ!」
「出口はこっちだ!!」
イゾウの声を掻き消すように、“また”誰かの声がした。
その声に円陣を組もうとしていたクルー達も、その方向を振り返る。
とにかく身動き取れないほどの密集状態に本能的に、そのぽっかりと開いた“不自然な穴に”疑問も感じず逃げこもうとする者達。
イゾウは舌打ちし、息を深く吸うと声を張り上げた。
「俺を中心に円陣を組めぇ!!」
元、女形役者のイゾウの声は朗々と響き渡った。
びくりと思い止まる者、端から“惑わされなかった”者が円陣をくみ始める。
しかしながら、穴に近かった者には間に合わない。
穴から飛び出す剣。
驚きに目を見開くクルー。
その目の前に広がった蒼い炎。
マルコの体を、
複数の剣が貫いた。
マルコの目が鋭く細められた。
「“二人共”いるんだろい!出て来い!」
貫かれた体を蒼い炎が修復していく中、マルコは一喝した。
「あ~あ、やっぱりばれちゃったか」
体を震わせて笑いながらフェイク軍団の中から現れたライ。
「やはり、邪魔になるのはマルコ隊長ですね」
対照的に淡々とした様子のフェイクは、白いサンゴの最上段からマルコ達を見下ろすように姿を現した。
殺されたはずのライと、そのライを殺したはずのフェイクが揃って登場したことにクルー達は驚きを顕わにした。
「死んだふりか?」
「馬鹿っ、息してなかったぞ」
「あの血は何なんだよっ」
その反応にライはぶっと吹き出し笑い出した。
「あの血は輸血用の血液だよ!息は止めれば済むさ、幸い長く止められる質でね!」
そして、『心臓確認されねぇかヒヤヒヤしたよっ』と心拍を確認しなかったマルコ達を嘲笑った。
「家族ってのはいいもんだなぁ、殺された奴が裏切り者だとは疑いもしねぇで」
もともとお調子者のライはベラベラと話しだした。
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