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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第13章 新世界を一人で生き抜いた女


 男だとすら思われていないイゾウには、沙羅との未来など皆無に等しい。
何度か分かりやすく口説いたり、接触したりもした。
だが、恥ずかしがるどころか、顔を赤くすることすらなく返されたイゾウ。
それに対してマルコはどうだ。
ほんの些細な接触で、何気ない会話で、密かに頬を染める沙羅。
本人は隠してるつもりのようだが、沙羅をよく見ているイゾウにはわかってしまった。
沙羅が、マルコに対してどんな気持ちを抱いているのか。
だからこそ、子供じみた細やかな嫌がらせで憂さ晴らしをせずにはいられなかった。

“さて、どうでるか”

イゾウはくつりと笑った。
このまま突っかかってくるのか、
それとも話題を避けるのか。
しかし、マルコはやはり若くして一番隊隊長を務める男だった。
『その話は後だよい』と短く淡々と告げたマルコ。
状況を忘れて突っかかっくるような、子供でもなく
状況に言い訳して逃げるでもなかった。
受け止めてかつ、任務を遂行する冷静さと、強い精神力を兼ね備えていた。
だから・・・。

“奪えねぇんだ”

マルコがどれ程すごい男か、イゾウ自身が一番よくわかっていた。
肉体的な強さはもちろんのこと。
決して痛くないはずはないのに、不死鳥だからと、常に先陣を切って家族を守る優しさ。
大家族をまとめ守る統率力、責任感。
思慮深さ。
どこをとっても、同じ男として、惹かれずにはいられない強さを持ったマルコ。
だからこそ、イゾウも強引に奪ったりできないのだ。
マルコなら、
沙羅を、
幸せにできると、
わかっているから。


お互いに認めあっているとは露知らず。
マルコ達は天井が木々に覆われたトンネルのような場所を抜け、不思議な真っ白い空間についた。
「珊瑚・・・だな」
足下や周辺を白い珊瑚を加工したものがぐるりと回りを囲っていた。
明らかに人工的に作られた空間は、さながらコロシアムのように階段状の壁がそびえ立つ。
何となく無機質で、静まり返ったそこは、不気味な美しさを感じた。
「「・・・」」
初めに気がついたのは、一番隊のトシだった。
「フェイクさん?!」
その声に振り向いたマルコの目に映ったのは、今しがた通ってきた場所から次々と流れ込んでくるフェイク、フェイク、フェイク・・・だった。
無論、流れ込んできたフェイクは襲いかかってきた。
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