第2章 出会い
3人が出会ってからほどなくして、崖の上から声があがった。
「皆、上がってらっしゃい、ニューゲートさんが見えたわよ」
「は~い!」
そう言うと沙羅は先に立って崖を登り始めた。
「・・・マジ?」
「よい」
その光景に予想通り、唖然とするサッチに、ククッと海賊らしい笑みを浮かべながらマルコは答えた。
後を追った二人が崖を登り切れば、緑の草花が広がるそこは既に大宴会と化していた。
それはお約束のように夜まで続き、さらに温暖な春島の気候の効果も相まってマルコたちは酒を静かに飲み続けたり、雑魚寝をしたり思い思いに夜を過ごしていた。
“・・・”
いつのまにか眠ってしまったマルコは、ふと目を覚ました。
視線の先には白ひげとロイが静かに酒を飲み交わしていた。
『本気なのか?おめぇ」
『あぁ、沙羅に世界を見せてやりてぇ』
『そうか・・・』
ロイの顔が動き、マルコは慌てて目を閉じた。ロイの視線を顔に感じる。
『いい息子だな』
『あぁ?・・・マルコか』
白ひげの視線もマルコに注がれる。
『まだまだ鼻ったれだぁ』
白ひげの声は嬉しそうに揺れていた。
『先が楽しみだな』
『おめぇ、・・・年を取ったなぁ』
『おいおい、ニューゲート、俺が年を取ったならお前もだろ』
『グラララ~、違ぇねぇ』
特徴的な笑い声を聞きながら、マルコは二人のやり取りを整理しようとした、直後。
『ニューゲート、沙羅を頼む』
『あぁ・・・』
"トクンッ・・・"
沙羅が乗船するかもしれない。その期待にマルコの胸はまた小さく跳ねた。
そんなマルコをよそに、星々が静かに瞬き、夜は更けていく。
夜があけ、柔らかい朝日に包まれた頃。
白ひげは、モビーディク号への帰艦と"沙羅"の乗船を告げた。