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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第13章 新世界を一人で生き抜いた女


するとその壁の後ろから、鬼のような顔をしたマルコが出てきた。
実は、マルコは最初から全て聞いていた。
サッチが怒った時、マルコももちろん出ようとしたのだが、僅かに先に出たサッチに任せることにしたのだ。
と言えば聞こえはいいが、怒りのあまり、自分が彼らの前に出れば手加減できないとわかっていたのだ。
「・・・次は、無ぇよい」
その言葉にサッチは確信を得た。
沙羅が、クルー達に嫌味を言われるのは始めてではない、と。
そして沙羅は気づかれていないつもりのようだったがマルコは、それを知っている、と。
最早“さすが”と言うより他ないマルコの沙羅情報収集能力に脱帽した。
「にしても、ハルタは何であんなに沙羅ちゃんに噛みつくんだ?」
「俺にもわからねぇ」
「単なる子供の嫉妬さ」
二人の耳に“くつくつ”とした笑いが届いた。
「「は?」」
「同い年だからねぇ、どうしても負けたくねぇのさ」
「負けたくないって、相手女の子だけど」
すると『だから子供なのさ』とイゾウはまた笑った。
イゾウ曰く、
出会いからして、最悪だろうと。
自分の身長に密かにコンプレックスを抱いているハルタの“上を”飛び越えた沙羅。
そして、白ひげ海賊団の古参連中に可愛がられ、自身も昔の事を知っている沙羅。
隊長同士に上下関係はないとはいえ、新しい方のハルタは面白くないはずだと。
「「・・・」」
マルコとサッチは顔を見合わせた。

““く・・・、くだらねぇ””

そして笑おうとした瞬間だった。
「マルコ!大変だ!」
「イゾウ隊長、ライが!!」
「サッチ、16番隊のライが!」
三方からかけらた声に、それぞれが振り返った。



「死んでる・・・」
「ックソ、海軍とやってる最中か?」
16番隊のクルーが胸の辺りを赤く染め倒れていた。
息は、ない。
「どうやって入った?」
疑問の声。
「サッチ隊長、各隊、点呼取りました」
無言で先を促したサッチに対して、4番隊のクルーは言いにくそうにマルコを見た。
「・・・誰がいねぇ?」
何番隊とは聞かないマルコ。
「フェイクが・・・いません」
その名前にマルコは顔を顰めた。
真面目で気が利くクルーだと思っていたのだが、自分の目は節穴だったようだ。
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