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ヒーローが死なないとは限らない。

第2章 俺は平凡な高校生、隣の奴は…?


1限目開始の鐘が鳴る前に俺は特製枕にて、睡眠を開始していた。


睡眠と言っても本当に寝るわけではなく、ただ目をつむってるだけだけど。



そんな時に机の隅に何かが置かれる音がしたので顔の向きを変えて確認すると、小さな紙だった。


開いて見てみると可愛らしい字で「消しゴムありがとう!」と書いていた。


隣を見ると恥ずかしそうな顔をしてる齊藤さんがペコペコしていた。


俺はその紙に「いえいえ」と書いて彼女に渡すと目をキラキラさせて笑っていた。


それから何度も紙を交換して、俺らの不思議な手紙回しが始まった。


部活はなに?とか好きな食べ物は?とか相手についていろいろな事を聞いていた。



また手紙が回ってきたので確認すると「
下の名前で呼んで良いかな?」と書いてあった。


女子にはいつも「来栖」と呼ばれているが、せっかく呼んでくれるならと思い了承した。


ついでに俺も彼女の事を「優里さん」と呼ぶことにした。



それからも手紙回していたら、結構彼女について知ることができた。


今は新たな環境のせいで大人しくみえるけど、意外と活発で元気な子らしい。


それに部活や好きなものなどが被っていたりして、なんだか仲良くなれそうだ。



もっと手紙を回して彼女を知りたかったが、1限目終了の鐘がなった。


静かだった教室も騒がしくなり始めると、隣から笑い声が聞こえた。


「すっごい楽しくて50分があっという間だったよ!ありがとう、亜紀斗くん!」


手紙で名前呼びはなんともなかったけど、口で言われるとなんだか照れる。


「こちらこそ、えっと…優里さん」


頑張って名前呼びしたら彼女も嬉しそうに笑ってくれた。



「なになに〜?亜紀斗、仲良くなったの?」


そんな幸せを邪魔してきたのは奏だった。


「うるさい、そんなんじゃないから!暑いからくっつくなよ!」


「いいじゃ〜ん!亜紀斗の体冷たいから好きだもん」


「キモいこと言うなっ、大体、俺は生きてるから冷たくないわっ!」



というやりとりを大声でしてしまったのでクラスのみんなに笑われてしまった。

その中にはもちろん優里さんも含まれていた。



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