第5章 俺は一般人、彼女はヒーロー
それから数時間経ったころ、教授が来た。
「優里は今落ち着いて眠っている。…ただどのくらいで目を覚ますかは分からない。
3時間このまま眠り続けたら、彼女は眠りながら死んでいくだろう」
教授のあとを歩き、少し離れた大きな部屋で優里は寝ていた。
ここに来た時と同じようにからだにこれでもかっくらいの管をつけられている。
彼女が眠り続けるのが幸せなのか、不幸なのかそんなの分からない。
いずれにせよ、優里に残された時間はたったの3時間だ。
ベッドの隣に椅子を置き、優里の手を握る。
俺にできることはこれしかない…
3時間の間、ずっと優里のことを見て脳に焼き付けよう。
俺はそう思いながら、彼女を見つめ続けていた。