第5章 俺は一般人、彼女はヒーロー
カゴの中をみると、白いスーツだった。
俺も着替えろってことか…?
俺のサイズになぜかピッタリのそのスーツを俺は着ると、胸ポケットに何か違和感があった。
ポケットには黒い小さな箱が入っていて、中を見ると指輪が入っていた。
この服、この指輪…もしかして…
俺がそう考えた時、部屋の扉が開いた。
部屋に入ってきた優里は純白のドレスに身を包み、白いベールを被っていた。
「すごく綺麗だね…優里」
「ありがとう、亜紀斗も素敵だよ」
司祭の格好をした研究所の人がご丁寧にベンチを撤去してくれたと思ったら、また部屋が暗転した。
そしてその部屋は教会の風景へと変わり、俺らは教会の扉と思われる前に立っていた。
しかも今までとは違い、なにやらBGMが流れている。
俺らは部屋の中をゆっくりと歩き、司祭の前まで行く。
司祭の人がお話を始めて、あっという間に結婚式だ。
「来栖 亜紀斗は齊藤 優里を一生愛すると…誓いますか?」
「はい、誓いますっ!」
「齊藤 優里は来栖 亜紀斗を
一生愛すると…誓いますか?」
「はい、誓います!」
俺たちはお互いの顔を見て恥ずかしさを我慢しながらそう言い切った。
「それでは誓いのキスを…」
俺は一歩近づき、ベールを上げて彼女の柔らかくて赤い唇にキスをした。
唇を離すと顔を真っ赤にした優里の照れ笑いがとても可愛らしかった。
それから指輪の交換をすると、俺の薬指にピッタリの指輪だった。