第5章 俺は一般人、彼女はヒーロー
俺はなんとか涙をこらえて優里と話す。
「へぇ〜、そんなことが?」
「うん、大笑いしちゃったよ」
彼女が休んでいた間にクラスで起こった面白い話をして盛り上がったが、次第に話は尽きた。
「手強かったのか?敵は…?」
話の話題は戦争になった。
「最新兵器が出てきてさ…凄い苦労したよ。でも、ちゃんと破壊してきたよ!
だから…すぐに戦争は終わると思う」
でも戦争が終わった時優里いない、そんなこと分かってる。
「こ、この話はやめよう!」
また目尻が熱くなってきたので俺はそう言った。
しかし話題が出てこなくて、慌てていると扉をノックする音が聞こえた。
「優里、すべて薬は注入し終えたから少しなら動けるぞ」
扉を開けた教授は編みバッグを手にそう言ってきた。
すべての管を外してもらい、やっとベッドから降りれた優里は最初に俺の元に走り寄って、抱きついてきた。
「ずっとこうしたかった…」
しばらくの間2人で抱き合ってから、優里は教授からバッグを受け取った。
「いくよ、亜紀斗っ!!」
そして俺の手を握って研究所の中を走ったり駆けた。
とある扉の前で止まったと思ったら、彼女が持っていた鍵で中に入る。
その部屋には真ん中に1つベンチがあり、あとは白い壁に囲まれただけの部屋だ。
「そこ座ってっ!早く、早くっ!」
何が何なのかは分からないが優里が先にベンチに座ったので俺も座った。
「ここに何があるの?」
「まぁ、見ててよ!凄いから!」
彼女は何の変哲も無い壁を見て目を輝かせてるので、俺も黙ってその壁を見ていた。