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ヒーローが死なないとは限らない。

第5章 俺は一般人、彼女はヒーロー


亜紀斗へ


これ読んでる時、私はどんな状態かな?
死んでるか、重症か…かな?


前はキツイこと言ってごめんね。
亜紀斗に嫌われた方が人を殺すのに躊躇いがなくなると思ったの。


人の幸せを奪ってるのに私には私のことを好きで待ってくれてる人がいるのはなんだか………。


でも亜紀斗と出会えてすごい私は幸せだったよ。


ありがとう。


いつかこうなるのは分かってたし、最近覚悟も決めた。



だから、1つだけお願い、

私が死んでも泣かないでほしい。


たくさんの人を殺してきた私が死ぬ時に人に泣かれるのはなんだか申し訳ないし、それに君の泣き顔を見て逝きたくないから。


それじゃあ…………




バイバイ




優里より




そこで手紙は終わっていた。



こんなの遺書と同じじゃないか。

あいつは生きてるんだからこれは必要ないはずだろう。


最後をバイバイで締めくくられてたのが無性に腹がたつ。



「なんなんだよ…おいていかないでくれよ…」


手紙を持っていた手に力が入り、くしゃっとなる。


でも今の俺にはなにも出来ない。


俺は大人しく担任からの連絡を待つ事にした。








俺が寝ていたら突然担任から電話がかかってきた。



「来栖、そっちの避難所に今向かってるのだがすぐ出てこれるか?優里が会いたがっている」


「分かりました、外で待ってます」



今は午後3時、ここで一夜を過ごしたわけだがかなり身体が痛い。


両親はまだ寝ているので、置き手紙を残して外に出た。




しばらくするとヘリコプターがやってきた。


まさかあれじゃないよな……。
こんな時に冗談はよしてくれ。



完璧にフラグが立ったところで、俺はヘリコプターに乗せられた。



「こんにちは、身体は大丈夫か?」



挨拶をしてきた担任はいつものスーツではなく、白衣にメガネ姿だった。



「大丈夫です…優里は?」



「それがな…。優里は…









ーあと10時間ほどで死んでしまう。」




下を向いて担任はそう言った。



「なんでですか…。まだ生きてるんですよね?なんでそんな断定できるんですか…。」


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