第5章 俺は一般人、彼女はヒーロー
それから何時間経っただろうか。
急に爆撃が止んで、静寂がもたらされた。
携帯で時刻を確認すると18時過ぎになる。
2時限目の途中からだから8時間近くここに避難してたのか…。
すぐに集会が開かれ、俺たちは帰宅することとなった。
「来栖、無事だったらその辺に優里がいるはずだ。探すぞ」
担任にそう言われたので俺たちは誰よりも早く地上へと向かった。
「うわ……なんだこれ…」
階段を上がり扉を開ければ、避難する時は体育館だったはずだが今は鉄骨や瓦礫が積み重なっている。
人がなんとか通れる道を作り、おれたちは開けた場所に出た。
至る所から小さな火がメラメラと燃えているし、もう校舎など跡形もなくなっていた。
本当に俺が住んでいた街かよ…こんなとこ知らないんだけど。
そう思ってしまうほど焼き尽くされていた。
「見る限り優里がいない…どこかの下敷きになってるかもしれないから探すぞ」
その声で俺は瓦礫を避けて彼女の名前を叫びながら探し回った。
なんでいないんだ…待ってろって言ったくせに……
外には続々と生徒が出てきて、様々な感情に埋もれながら帰っているようだ。
携帯を開きメッセージを送る。
「どこだ?俺は地下扉の近くにいる」
そう打ってから扉付近をくまなく探していると、担任から電話がかかってきた。
「来栖か?たった今優里のGPSが起動した。合流して向かうぞ」
俺たちは地下扉前で合流し、GPSを元に優里の元へと向かった。
反応が出ている付近に近づくにつれ、
落ちている白い羽が増えていく。
道の途中で担任が自分の研究所に付属の救急にこちらに来るよう電話していた。
「….この辺だな。優里ー!!」
ついた場所は学校からかなり離れた場所で、やはりここも荒れ果てている。
俺も探していると、羽が大量に落ちているところを見つけたのでその辺の瓦礫を避ける。
瓦礫の山から生々しく血が付いている瓦礫が出てきたと思ったら、血の匂いがしてきた。
この下に絶対いる……!
俺は無我夢中で瓦礫を片っ端から避けた。