第4章 俺平凡な高校生、隣の奴は…怪物?
「教授、みんなの事お願いします」
そう言った彼女は窓枠に中腰の体制で立ったと思ったら、俺の方を向いた。
「ま、た、ね、あ、き、と!」
初めて会った日、体育の時間にしたように口パクで彼女は言った。
そして大きな翼を広げて再び空を飛んでいった彼女は、天使のようでとても綺麗だった。
俺はすぐに窓に駆け寄り、その背中に向かって叫ぶ。
「絶対死ぬなよ!!俺だって好きだー!」
この声が聞こえたらしく優里はこちらを振り返り、満面の笑みを浮かべてからまた羽ばたいていった。
そんな姿に見惚れているとすぐに校内放送がかかる。
「全校生徒のみなさん、これより地下に避難します。これは訓練ではありません。…………従ってください」
先ほど優里が教えてくれた情報と一致した。
すぐに担任は生徒の避難誘導を始め、俺たちは戸惑いつつも地下へと向かった。
何度か行ったことのある非常用の地下は体育館以上の広さがある。
それに非常食から水、タオルや簡易寝具なども全員分プラス予備もあった。
全校生徒が避難し終わり、すぐに集会は行われた。
話から日本はヤバイが特にこの高校はヤバイと言う。
なぜかこの高校を狙っていると話していた。
でも俺は理由を知っている。
日本の最強兵器にして最後の砦である
優里が守るもの。
それを壊せば優里の士気が下がり一気に攻め落とせる。
そういう作戦なのだろう。
俺が担任に話しかけると周りに人が少ない端に移動した。
「優里は大丈夫なんでしょうか?」
「分からない…でも危険なのは確かだ」
彼の顔から本当に危ないのだと感じる。
やっとまた仲良くなれたのに、彼女の本心を聞けたのに。
このままお別れなんて絶対に嫌だ。
ーズダァァァァン
そう思っているといきなり酷く重くて嫌な音がした。
きっと学校への襲撃が始まったのだろう。
それからも音が鳴るたびに全校生徒から悲鳴が上がる。
それに地震のようにとても揺れている。