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ヒーローが死なないとは限らない。

第3章 俺は平凡な高校生、隣の奴は彼女


テレビで放送されてる中継で、戦争が酷くなっていることを知る。



「また昔みたいな戦争が起こると思う?」


と、朝ご飯の途中に母さんに聞いてみる。



「でもずっと向こうでやってるんでしょ?日本には来ないんじゃない?ご馳走様でした」



そのままお母さんは立ち上がり、洗い物を始めたようだ。


そんな単純に戦争は終わってくれるのだろうか。


なんだか酷く胸が騒ぐ………なんてアニメの見過ぎだよな。


「じゃ、行ってきまーす!!」



俺は今日も隣が空席の学校へと向かった。



「優里ちゃん、どうしちゃったのさ?喧嘩したの?」


「してない、俺も分からないし。メッセージも来ないしさ〜」



教室ではかなりの人が優里のことを話している。

今回は1週間まるまる休んでいるのだ。


「ま、今日は遅れてくるかもよ?」


奏は鐘がなったので自分の席に戻った。




そして3限目、日本史の途中に教室の扉が開いた。


「なっ、どうしたんだ?その怪我!!」



約一週間ぶりにみる優里は首とスカートから見える右足に包帯を巻いていた。



「おはよう、ちょっと階段から落ちて…」



えへへ、と力なく笑った彼女はそのまま席に着いた。



横顔をチラ見するとやっぱり頬がこけてきている。


目には光がなくなっているし、包帯がとても痛々しい。


つやつやで綺麗だった黒髪も、少し乱れている。



絶対家の用事じゃないだろ…何をしてるんだ?



俺はちぎり紙に「大丈夫か?」と書いて彼女の机に置こうとした。


あ、寝てる………。


彼女が授業中に寝るとこなんて見たことがなかった。


目の下のクマもひどいので、きっと寝不足なのだろう。



手紙を握っていた手を戻し、あまり音を立てないよう授業を受けていた。



しかし彼女が寝始めてから30分ほど経ったくらいにまた教室の扉が開いた。


扉の窓から担任の顔が見えたのでだいたいの察しはつく。



「授業中すみません、齊藤!」


名前を呼ばれた彼女を見たが、まだ寝ている。


俺は肩をトントンして名前を呼ぶとやっと起きた。



「ーあれ?私寝てた…? 今行きます!」



そう言って慌ただしく、授業道具をカバンに詰めて出て行った。



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