第3章 俺は平凡な高校生、隣の奴は彼女
彼女が次に学校に登校したのは、戦争が始まってから4日目の事だった。
その間メッセージをうっても一度も返ってくることはなかった。
「おはよう、久しぶりだね!どうしたんだ?」
「おはよう…ちょっと家の用事!」
そう答えた彼女は笑ってはいるものの、
とても気疲れしている気がした。
なんていうか、彼女から何か大切なものが消えた感じがする。
しかし本人が家の用事と言ってるのだから、詮索するつもりもない。
実際、その日の優里は普通だった。
その次の日、彼女は3時間目まで普通にいたが担任に呼ばれて早退していった。
それからもかなり頻繁に彼女は休んだり、早退したり、遅刻したりとしていた。
担任もなぜか何も言わず認めている。
理由はいつも家の用事だ。
それにだんだんやつれてきてるように感じる、ボーッとしてることも多くなった。
大丈夫だろうか…一体家の用事とはなんなんだろう。
俺は職員室に行き、担任の先生の所へ行く。
「お、来栖か?どうしたんだ?」
俺らの担任、篠崎先生は今年から来た若い先生だがとても頼りになる。
「あの、齊藤はどうしたんですか?最近疲れてるみたいだし……」
「あ、あぁ…彼女はちょっとな。
…聞きたければ本人に聞いてくれ」
担任まで隠す理由とは一体…
「…そうですか。ありがとう、ございます」
俺は気を落としながら職員室を出た。
メッセージをうっても中々返ってこないし、返ってきたと思えば「うん」「大丈夫」ばっかりなのだ。
俺は教室に戻り、すぐに優里の元へと向かった。
「優里、今日一緒に帰れるか?」
「あ、うん!多分、大丈夫だよ!」
よし、これで少しは話せる!と喜んでいた時だった。
「齊藤、電話来てるぞ!」
担任が教室のドアから彼女を呼んだので優里は教室を出て行き、それから教室に戻ることはなかった。
また早退か…一緒に帰りたかったな。
いつもいつも呼びに来る担任になんだか苛立つが、彼が悪いわけでもないので八つ当たりしても意味がない。
今日も俺は1人か、奏と帰ることになりそうだ。