第1章 髪を愛でて貰った後には…小狐丸
喉の奥に勢い良く放たれた精液を口一杯に含む。これはまた随分濃いな…と少し表情を強ばらせて全て飲み干した。吐息と共にぺろりと唇を舐め取れば、私の姿に見惚れて放心している小狐丸がいた。
「ぬしさまが…小狐の…」
「なに、駄目だった?」
「はぁはぁ…ぬしさま、ぬしさまっ」
「えっ、ちょっと!なに!」
起き上がった小狐丸はぎゅうっと私を抱き締める。愛おしいというように私の首筋に顔を埋めて見えて、欲情した獣は私の首をぺろりと舐めてからうっとりと目を細めた。あっ…この顔は不味い、身体中が一瞬ぞくっとした。もっと虐めたいと思ってしまう。
「狂おしいと想える程、人を愛したはいつぶりでしょうか…」
「小狐丸?」
「ぁあ…ぬしさま、私の愛しきぬしさま…」
「な、なに…本当にどうしたの?」
「……私は野生ゆえ、貴女さまに初めてお会いして、戯れたあのひととき…懐いている振りをしていました」
「はっ?」
「従順な狐の方がぬしさまを裏で操れるかと思いまして?…ですが、貴女さまと関わるうちに妙な独占欲が生まれてしまったのです。全く人間というのは不思議な生き物ですね?私だけを見て構って欲しい、誉めて貰い毛並みを撫でて欲しい、ずっと傍に愛して欲しい…そんな穢らしい想いだけが溢れ出るのです」
「小狐丸…」
私から離れていく小狐丸は少し寂しそうに微笑む。その表情がどうしようもなく胸を打たれ突き動かされた。彼の白髪を引っ張り、前屈みにさせてぶつかるようにキスをする。ガチッと歯と歯が当たり、口の中が血の味が広がった。痛みに耐えるように口元を押さえる小狐丸は私の唇を気にして見えて、私は彼の唇を舌でぺろりと舐めた。
「私は小狐丸が好きよ、愛おしいと思えるくらい…」
「身に余る光栄なお言葉ですね…」
「一振りくらい嫉妬深くても重く思わないよ。まぁ他の刀もいるから一番にはさせてあげられないけれど…沢山愛してあげるわ」
「ぬしさま…それでは、嫉妬深い狐に祟られないよう。もっと愛を下さいませぬか?お伝えして置きますが…噛まれると痛いですよ?野生ゆえ…」
「あら。なんなら、思い知らせてあげるよ…私が貴方をどれだけ愛しているのかを」
優しく押し倒した私に小狐丸はぎゅっと抱き締めて来る。耳元で囁くように「口吸いをお願い致しまする…」と伝えて来た為、舌と舌を絡めるような激しく甘いキスをした。
夜はまだまだ長い…。