第3章 罠を仕掛けたらどっぷりハマっていました…一期一振
ビクッと大きく肩を揺らした彼は目を見開き真っ青な顔で私を見上げている。一期は直ぐさま汚れてしまった精液まみれの羽織りを隠そうとするも、少し萎えてしまった陰茎を隠せるモノが他にはない。なので隠すに隠せず、どう私に謝罪して説明しようと必死に考えているようだった。私はあえて気付かぬ振りをして部屋に入る、イカ臭い匂いが鼻につくが笑顔を保った。
「一期、遅くなってごめんなさいね?それじゃあ始めましょうか?」
襖を閉じて座布団の上に腰掛けた私は、またスマホのように透明な画面をスワイプさせたりキーボードを打つ事にする。なにも発しない彼にどうしたのか聞いて見た、すると私の羽織りを強く握り締めている。手のひらや服が汚れなければいいけれどと内心思いながらも、声を発しない一期に痺れを切らした私は彼に近付き両膝をついた。私の目線よりも下に彼の顔がある、私は安心させるように頭を撫でて見れば、泣きそうな表情で俯いてしまった。
「主殿…申し訳ありません。私は…貴女に謝罪せねばならぬ事を…」
「うん?」
「……主殿に、私の欲を吐き出してしまいました。穢らわしい自分の欲で、貴女を汚してしまった…そんなつもりではなかったのです。ただ主殿のお傍で支えていけたらと…そう思っていただけだというのにっ!」
少し後ろへ下がった一期は申し訳ありませんと深々頭を下げた。土下座というものである。羽織りに触れようとすれば、自分の欲でこれ以上貴女が汚れるのを見たくはないと奪われてしまう。なので少し逃げ腰の彼を捕まえて羽織りを返して貰った、べちゃと手に付いた冷たくなったモノを見下ろす。随分出たんだなと考えて小さく笑い手のひらをぺろりと舐めた。
「あっ、あるじ…どの…」
「私に欲情したの?ぱっとしない私に?」
「そんな事はありません!主殿は綺麗です!私は貴女を誰よりもお慕い申しております!」
「ふふっ恋は盲目っていうからねー…」
「ち、ちがいます…本当にっ…」
「まぁその話しは後にしましょう。それで一期一振…欲情したなら仕方がない。でもね…するならするで私に一言言って欲しいんだけど?」
こんなにべとべとしされちゃったら流石に洗濯機で洗うのは気が引ける。一旦手で揉み洗いかなと考えて汚れないように軽く畳むと床に置いた。じっと無表情で見つめる私に一期の瞳が揺れて恐怖の色が伺えた。
「私の前でもう一回やろうか…」