第18章 おそ松さん《7:松野トド松》
「はい、召し上がれ♡」
コトリと机に置かれた
おしゃれなワンプレート
『わあ!美味しそう〜』
「エッグベネディクトだよ」
そう言いながら、湯気の立つコーヒーカップを
2つ机へと起き、隣の席へと腰掛ける
『え、なんで隣?』
「覚めちゃうから早く食べて!
はやく!はやく!」
『う、うん。いただきます』
カリカリに焼けたイングリッシュマフィンの上に
ふるふるのポーチドエッグが乗り
胡椒の効いたたっぷりのオランデーズソース
にかぶせるように生ハムが乗っている
ゆっくりとナイフを差し込めば
オランデーズソースに包まれたポーチドエッグから
プツリとオレンジ色の黄身が溢れ
イングリッシュマフィンのザクザクとした
小気味良い音が食欲をそそる
一口大にカットしたそれを口へと頬張れば
とろりとしたソースと玉子とカリカリのマフィンの
食感が堪らなく癖になる
生ハムの絶妙な塩気もとても合う
『あ〜ん!美味しいよ〜』
ひとくち頬張る度にとろけそうに美味しい
ご飯に目元が緩むのを感じた
「良かった頑張ったんだ」
隣を見れば、肘をつき両手で顔を挟みながら
あざとい顔でこちらを見ている
『あざとっ』
「えー酷いなあ」
そう言って、頬を膨らまし
あざとさを増す末弟の口へとプチトマトを押し込む
「っん゛ん゛!」
ビックリしたのか
キャラを忘れ顔を崩す姿にクスクスと笑いが溢れる
『あー美味しかった!ご馳走様でしたー!』
「はーい、お粗末様でした」
洗い物を片付け始めるトド松を横目で見ながら
ダイニングへと残りのコーヒーを持ちソファーに腰掛ける。
土曜日は、会社は休みなのだが
大抵金曜日の夜は酔い潰れて帰ってくることが
多いので、土曜日は何にも手につかない
その為土曜日もハウスキーパーを頼んでいるのだ。
まだ湯気の立つコーヒーへと口をつければ
ほんのり甘くシナモンの香りが漂う。
洗い物をするトド松を見ながら
ふと先ほどの言葉を思い出す
《警戒心が強くなってるじゃん、闇松兄さんのせいで》
きっと全てが筒抜けなのだろう
けどもう私は油断しない。注意すべきは下3人
一松、十四松とレベルが増してきている事も考慮し
この末弟、トド松には一瞬の隙も見せたりはしない