第16章 おそ松さん《6:松野十四松》
はあ、小さくため息をつき
ダイニングテーブルへと座ると
拳大の大きなおにぎりがお皿にドカンと乗っている。
シュールさにクスリと笑い
頂きます。と手を合わせる
皿の上の大きなおにぎりを一口かじると
程よい塩加減が口に広がり
もう一口かぶりつけば
塩昆布
もう一口かぶりつけば
ゆで卵と、シーチキンマヨが
お米と一緒に口の中へと入ってくる
『ん、今回はシーチキンマヨとゆで卵?
美味しい!』
ちょこちょこと、中身が変わる
十四松の爆弾おにぎりは見た目とは裏腹に
食べ合わせは最高で
の大好きな朝のメニューである。
前は角煮とゆで卵が入っていて
それはそれは美味しかった
『十四松は天才かもね!爆弾おにぎり毎週ほんと楽しみにしてるんだよ』
そう十四松へと笑顔を向けると
少し恥ずかしそうにし
どっかーーーーん!と叫びだす。
『ごちそうさまでした。』
両手を合わせ、十四松を見上げながらそう言うと
大きく開けられていた口が閉じられ
急に色っぽい視線を投げかけてくる
「こちらこそ、ごちそうさまでした。」という
十四松の情欲をそそる様な声に
今朝の事を思い出し
の頬が少し赤くそまる
『そういう時は、お粗末様でした。って言うんだよ』
しどろもどろにそう言えば
パカリとまた口が開き
そうだったー!なんていつもの調子に戻る。
まだ熱が引かない顔を隠す様に
部屋へと駆け戻り
いつもより少し早めに家を出る
玄関へと行けば
ピンヒールが揃えられていて
玄関に立つ十四松の姿に
ゲッと小さな声が漏れる
他の6つ子の行ってきますのキスを思い出し
小さく溜息が出る。
「気をつけて行ってらっしゃい!」
そう大きな声を出し見送る十四松の姿を
呆気にとられた様な顔で見上げる
「あれ?ちゃんどうかした?」
忘れ物?と首をかしげる十四松の姿に
やっぱり朝のあれは夢だったんだ。
十四松はそんな事しないし
考えてもないよね。そう思い十四松に
もう一度目をやると
ポカンと口を開けいつもの顔をしている。
そんな、少し間抜けな顔にクスクスと笑いが漏れる