第1章 皆でわちゃわちゃクリスマス(2016.X'mas)
‐月島side‐
さっきの、最高の殺し文句だよね。
僕達が、望んで君の傍にいるんだ。
そのりらから、傍にいて良いって示されて、嬉しくならない筈がないデショ。
ま、僕がそんなの口に出すワケないけどさ。
やっと座ったりらを見て、絡むのを止めて席に戻る木兎さんと黒尾さん。
皆が飲み物のグラスを持って掲げる。
今日は、特別な日だから乾杯の代わりに違う言葉で。
「「メリークリスマス!」」
ただ、それをノリノリで言うのは、いつもの2人だけに決まってるよね。
「ツッキー、ノリ悪いぞー!」
「赤葦も、りらちゃんもだ。こういう日くらい、ノってきて!」
こうやって、絡まれるのにはもう慣れたよ。
嫌なものは嫌だけど。
同じく、ノらない2人も面倒臭そうな顔をしてるのかと思ったけど。
「メリークリスマス…です。」
透き通った声が聞こえた。
「りらちゃんが…。」
「…ノってきた。」
それが、意外だったのは僕だけじゃなかったみたい。
普段は五月蝿い2人組も、その言葉を最後に固まっている。
「りら、メリークリスマス。」
それをチャンスとばかりに、2人の世界を作ろうとし始めるのは赤葦さん。
りらのグラスと、自分のグラスを軽く当てて飲み始めてる。
りらもりらで、喋らなくなった僕達よりも赤葦さんの方に完全に体を向けてしまった。
りらの目は、完全に赤葦さんを捉えていて。
それが悔しいのは、彼女の視線が欲しいから。
「りら。」
「…何。」
「…見えそうだよ。」
声を掛けたまでは良かったけど、話題なんかなかったから。
無防備に晒された脚を視線で示してやる。
「ツッキー、そんなトコばっか見てんだぁ?やーらしー。」
気を取り直したようにからかいを始める黒尾さん。
「いや、黒尾。ツッキーだって男だ!男だったら見るもんだ!俺も見た。つか、パンツ見えた。」
木兎さんにフォローされても、1つも嬉しくないデス。
しかも、何暴露してるの、この人。
それで怒ったのは見られた本人じゃなくて、赤葦さんだった。