第1章 皆でわちゃわちゃクリスマス(2016.X'mas)
やっぱり、おかしかっただろうか。
茶碗なんてプレゼントされるの、老人のイメージだよな。
でも、これにはちゃんと理由があって。
この家に、誰かの専用って食器はないから。
まぁ、私が来るまで外食とか弁当メインの食事だったなら仕方ないのだろうけど。
今は私がいて、家で食事を摂るから、1つくらい専用の物があっても良いと思ったんだ。
それに。
「…自分の食器って、自分の、居ていい家にしかないでしょう。」
もう1つの理由を口から出す。
それを言った途端に、眺めていた茶碗を置いた木兎さんに抱き締められた。
「りらちゃん!俺めちゃくちゃ嬉しいぞ!」
力一杯抱き締められて苦しい。
「コラ、木兎!りらが潰れんだろうが!」
黒尾さんが、木兎さんを引き離してくれたので、その隙に他の2人の元へ。
ここまで、何の反応もないから、あまりのセンスの無さに絶句されてるんだろうな。
そんな事を思いながら、交互に2人の顔を見た。
「…りら、そんな理由喋ったら、赤葦さんが大変だよ。」
呆れた顔で、溜め息を吐きながら私を見ているのは月島くん。
意味が分からなくて、赤葦さんを見る。
「りら、ずっと俺と一緒に暮らしたいって言ってるの?」
月島くんが言っていた事の意味はすぐに判明した。
皆に贈っているのだから、赤葦さん個人とずっと一緒に、なんて深い意味がある訳ない。
分かってるだろうに、ここまでのプラス思考を真顔で吐けるのは尊敬の域に値する。
言い返すのも面倒で、無視をするように席に着いた。