第1章 皆でわちゃわちゃクリスマス(2016.X'mas)
‐黒尾side‐
はっきり言おう。
りらは読めない。
普段の行動は読みやすいんだが。
何か頑張ろうと動いている時の、ぶっ飛んだ行動は読めたもんじゃない。
現に今も、あのワンピースを着るとは思ってなかった。
普通の部屋着、しかも色気もねぇようなスウェットでも着て戻ってきて。
‘私が、あれを着ると思ってるんですか’とか、言うかと思ってた。
しかも、リビングに戻ってきた途端に、俺含む皆の膝の上に何か置きやがった。
「…プレゼント、です。」
見れば分かる。
だが、いつ用意したんだ、コレ。
クリスマスパーティーを家でやんのは、予想外だった筈だろ。
誰か、反応して聞いてやってくれ。
俺は、何でも見透かして、知ってる顔してぇんだよ。
反応を期待して周りを見回すと。
木兎は喜んでるんだか驚いてんだか分かんねぇ顔で口をパクパクしてるし。
月島は疑うように箱を色んな角度から見てるし。
赤葦なんか、感動して泣きそうだぞ。
どうすんだ、この状態。
つーか、誰か礼くらい言って…。
や、それは俺が言っても良いのか。
「…りら、サンキュ。」
「何がですか。」
「プレゼント、貰ったらアリガトウ、だろ?」
驚きで静かだった空間に、生まれた会話。
それで、止まってた時間が動き出したようで。
他の奴等も口々に礼を言った。
揃ったように、皆して箱を開ける。
中から出てきたのは…。
茶碗だった。
木兎のは、どんぶりかってくらいデカイやつで、月島のは、少し小さめ。
俺と赤葦のは、同じくらいの普通サイズ。
色は全部一緒で、グレー。
茶碗の側面には、各自の名前が彫られている。
なんで、クリスマスプレゼントにこのチョイスだよ。
相変わらず、コイツのやる事は読めねぇなって思った。