第4章 皆でわちゃわちゃ彼(?)シャツ
皆で揃って朝食、なんて珍しい状態だからなのか、周りの様子がおかしい。
食事に集中してくれてないような気がする。
案の定、木兎さんに醤油を溢されて、服を汚した。
「すみません。」
「いや、謝んのはお前じゃなくて木兎だろ。ロンTまだあるから持ってくるか?」
着ている服の持ち主は、大して気にしなかったみたいで、代わりも用意してくれるという。
だからって、黒尾さんからばかり借りたら、他が五月蝿いのは分かりきっている。
私に貸すつもりで持ってきていただろう服が置かれていた場所に近寄る。
くしゃくしゃのまま置かれているワイシャツは木兎さんのもの。
さっき着せて満足したからって、この状態で放置されたシワだらけの服は嫌だ。
綺麗に畳まれている、梟谷と胸元にロゴが入ったTシャツは赤葦さんのだ。
絶対に選ばない。
だって、これは…。
いや、考えるのは止めておこう。
口に出したら、気を遣われる。
赤葦さんのと同じく、綺麗に畳まれたネルシャツは月島くんのだろう。
それを手に取って振り返る。
「月島くん。借りるね。」
「ドーゾ。僕のは汚さないでよね。」
プレッシャー掛けられるくらいなら、他の人から借りた方が良かったかもしれない。
でも、マシな選択肢がこれしかない以上は仕方がない。
頭を下げてリビングから出る。
その場で着替えても良かったけど、そんな事をしたら黒尾さんのお父さん発言が発動しそうだから。
自分の部屋で着替えを済ませて、すぐにリビングに戻った。