第4章 皆でわちゃわちゃ彼(?)シャツ
一番始めに戻ってきたのは木兎さんだ。
彼シャツの中では定番の、ワイシャツを持ってきた。
嫌がる前に肩に掛けられて前のボタンを止められた。
袖に腕を通してすらいないのに、強引過ぎる。
しかも、それに気付いていないのか、着せただけで満足そうだ。
手が外に出ていないから、自分では脱げずに困っていると、次に戻ってきた黒尾さんが私達に寄ってきた。
「木兎、これじゃりらが何も出来ねぇだろ。脱がすぜ?」
「あーっ!折角着せたのに、何すんだよ!」
「袖ぐらい通させてやれ。」
黒尾さんが、ワイシャツのボタンを外す。
この言い方だと、もう一度ワイシャツを着せ直すように聞こえる。
黒尾さんは自分のを着せるのを諦めたんだろうか。
「木兎、パス。」
そんな訳無かった。
木兎さんにワイシャツを投げて返している。
「りら、バンザーイ。」
なんだ、それは。
私は子どもか。
意地でも手は上げないでいると、頭からTシャツを被せられた。
さっきと同じく、袖に腕を通す前に膝丈ぐらいまである裾を下ろされる。
ワイシャツと違うのは、布地が延びるから、自力で袖に手を通せる事だ。
もぞもぞと、服の中で手を動かして袖に通す。
「これ、お借りします。汚したらすみません。」
これなら、長さ的にワンピースのようだし、着ていても構わないと判断した。
「別にいーぜ。つか、ソレやるから、部屋着にでもしろよ。」
「いえ、結構です。」
別に欲しくはない。
洗濯が出来るようになれば、必要がないものを貰っても困る。
さっさと拒否だけして、やっと朝ごはんを作る作業を開始した。