第4章 皆でわちゃわちゃ彼(?)シャツ
リビングに入ると、すでに居たのは朝早い組の2人。
何に驚いたのか私の事を2度見、3度見してきた。
「…りら、着替えてきなさい。」
やっと口を開いたと思ったら、黒尾お父さんはこれが気に食わなかったらしい。
「りら、襲われたいの?」
赤葦さんは安定のセクハラ発言。
分かったのは、この格好が完全にアウトだった、という事。
でも、私にしたら生乾き臭の方が嫌な訳で。
2人の事は放ってキッチンに入ろうとした私の背中に何かが当たる。
振り返ってみると、黒尾さんが上半身裸になっていた。
「何のサービスしたいんだか分かんねぇが、取り合えずソレ着ろ。」
命令口調で指差されたのは、私の足元に落ちているシャツ。
完全にたった今まで黒尾さんが着ていたものだ。
人の脱ぎたてなんて、嫌に決まっている。
「黒尾さんのは、前にも着せたでしょう。今回は俺ので。」
私が関係すると、すぐに張り合いたがる赤葦さんも上を脱ぐ。
いや、だから人の脱いだやつは着ないって。
せめて洗濯してあるやつを貸してくれないものか。
「どちらも着ませんから、ご自分で着て下さい。」
上半身裸の男2人に挟まれてる、水着にエプロンの女。
端から見たら、3人揃って変態である。
木兎さんや、月島くんが起きてくる前に終息させたい。
そんな事を思っていると、その人が来てしまうもので。
扉が開く音がして、木兎さんがリビングに入ってきた。