第3章 赤葦メインで誕生日
‐赤葦side‐
りらの、さっきの笑顔。
あれは不機嫌な時にする顔。
俺達に構われるのに慣れてきたとはいえ、やりすぎた。
自分のペースで出来ないのは嫌だったんだろう。
「な、なぁ…。りらちゃん、機嫌悪くね?」
「そうだな。変なもん入れてねぇと良いんだが…。」
「りらなら、いくら機嫌が悪くても、食材を無駄にするような事はしないから、大丈夫なんじゃないですか?」
周りの人達も、それには気付いていたようだ。
確かに、りらなら食材を無駄にする、本当に食べられないようなものは作らない…筈だけど。
食べたら苦しいもの、なら作りそうだ。
よくある、ロシアンルーレット的な、わさび入りか、辛子入りか。
どちらも、俺にとっては平気なものだから、大丈夫だろう。
「…出来ました。入って下さい。」
りらが呼びに来たのを合図にリビングに戻る。
各自の皿に、すでに振り分けられた、たこ焼きが乗っていた。
「やっぱ、りらちゃんが作ると綺麗だな!」
「…だな。早く食おうぜ。」
「…いただきます。」
今更なご機嫌取りをした木兎さんと、若干警戒している2人がたこ焼きを口に入れる。
少し咀嚼すると、3人とも口を押さえた。
「かっら!」
「水、水くれ!」
「…りら、何を入れたの。」
騒ぎ始める人達と、涙目の月島。
予想が当たっていて安堵する。
俺は、辛いものはどちらかというと好きな方で。
何の警戒もせずに自分の分を口に運んだ。