第3章 赤葦メインで誕生日
一回作れてしまうと、楽しくなったようで皆の手によって量産されていくたこ焼き。
途中から、たこ以外の具材が入ったものまで作られ始めたから、すでにたこ焼きではない気がする。
まぁ、皆が楽しそうだから良しとしよう。
…と、思ったけど。
「りらちゃん、コレ食えって。明太子と餅とチーズ、美味いぞ?」
「しらすと梅とシソもイケるぞ。どうだ?」
「エビとかホタテも美味しいよ、食べてみて。」
「チーズベーコンも良いんじゃない?」
相変わらず、私に自由はなく。
次々に積まれていく、たこ焼き…の形をした具材不明のもの。
1つ1つ説明されても、何個も乗せられたら、どれがどれだか分からない。
美味しいけど、自分でも作りたい。
なんとか止めて貰いたくて席を立った。
向かう先は冷蔵庫。
中からチューブを3本取り出す。
それをポケットに隠して席に戻った。
「皆さんのオススメ、どれも美味しいです。私のオススメも食べて頂けますか?具材は内緒にしたいので、少しの間、席を外して頂けると嬉しいです。」
私が笑うと、大体は言う事を聞いてくれると分かっている。
わざとらしい笑顔で、席を外してくれるよう求めると、揃って立ち上がって出ていってくれた。