第3章 赤葦メインで誕生日
それからすぐに、言われていた2人が帰ってきた。
ついでに、先月に就職の為うちから卒業…いや、出ていった木兎さんまでも、何故か来た。
「おー!準備出来てるな!」
「何だ、結局こういうのか。普通に飯作んの諦めたか?」
「何を作っても、りらの料理には敵いませんから。それなら、普段りらじゃ作らないもの、にしたんです。」
この、年上組との会話から察するに、今日は赤葦さんがご飯を作る事を知っていたようだ。
あれ、嫌な予感がしてきた。
帰るなり、冷蔵庫の方へ直行した月島くんを見ると、丁度何かを入れた所だった。
チラりと見えた箱は、近くのパティスリーのものだ。
この時点で、嫌な予感が的中した事を悟る。
その証拠に、黒尾さんが持っていた黄色いディスカウントストアの袋から、たすきを取り出して私に差し出してきた。
たすきには、文字が書かれていて。
‘本日の主役’
これを、私に着けろと言うのか。
こういうの、嫌だから誰にも誕生日を教えなかった事を理解して貰いたい。
大体、なんで知ってたんだ。
情報源は、誰だ。
「りらの誕生日、俺が知らない訳ないでしょう?」
考えるまでも無かった。
この、オープンストーカーだ。
と、言うか、人の考えてる事を読むの止めてくれ。
「つー訳だから、諦めてコレ着けろ。」
受け取らない意思を顔を背けて示したというのに、黒尾さんが無理矢理たすきを掛けてきた。
こうして、望んですらいなかった誕生日会が始まった。