第2章 皆でわちゃわちゃお正月(2017.正月)
‐黒尾side‐
この神社は、センパイと初詣で来た事があった。
親戚の家が近いから小さい頃から初詣はココだった、なんて言ってたから、きっとりらん家が近いんだと思った。
偶然でも、会えれば良いと思ってたが…。
まさか、赤葦とデートしてやがるとは。
父親に取り入ってるの知ってても、まさか新年1日目から一緒にいるとは思わねぇから普通に驚いて。
カマ掛けるつもりで、掛けた声。
それで、2人がどうこうなってる訳じゃねぇのは分かった。
りらをモノにしてたら、ンなに余裕ねぇ態度で俺に食って掛かってくる訳ねぇし。
あ、でも目の前で、こんな言い合いしてたらりらが引くか。
言葉を止めて、りらの方を向く。
予想に反して、穏やかな顔してた。
「なんだよ、りら。俺に会えて、そんなに嬉しい?」
ふざけた顔してウィンクを送る。
「…はい。嬉しいです。」
ホント、コイツの反応ってのは予想外が多いわ。
てっきり、いつもの無表情で、別に、とか照れ隠しの素直じゃないセリフ言うとか思ってた。
じゃ、素直に言ってくれたご褒美に、これくらいしてやるか。
「お前らも、初詣だろ?俺、まだお参りしてねぇから一緒に行こうぜ?」
りらの手を取り、参道の列に向かう。
「黒尾さん、抜け駆けどうのって言ってる人のやる事っすか。」
眉を寄せて、敵意を見せてくる赤葦。
俺は独り占めしようなんて、ココロの狭い男じゃねぇから、お前にもイイ思いさせてやるよ。
「じゃ、そっちの手繋げば?半分こ、なら抜け駆けじゃねぇだろ?」
余裕を見せた顔して、俺とは逆側の手を視線で示す。
りらの前で、俺を完全に排除出来ねぇのは分かってるようで。
渋々、反対側の手を握る事にしたようだ。
こうして、りらを挟む形でお参りに向かった。