第2章 皆でわちゃわちゃお正月(2017.正月)
赤葦さんの所為で、予定より長く実家にいる羽目にはなったけど。
外に出るきっかけをくれたのも赤葦さんだから、これ以上は責める事は出来ない。
誘ったのが父の方なら、元旦の朝から呼び出された訳で、迷惑を掛けたのはこちらでもあるし。
不機嫌になっていた思考を払うように首を振った。
一応は、外に出る理由にした初詣を近くの神社で済ませ…たかったん、だけど。
大して有名でもない神社なのに、元旦という日だからなのか、思った以上の盛況ぶりで。
人酔いして、具合が悪くなってきた。
「…大丈夫?」
フラつきそうになった私の手を握る、赤葦さんの手。
心配そうに覗いてくる顔には、頷きを返して境内に進む。
こんなに人がいたら、はぐれてしまいそうだから、手は離さない。
いや、正直に言おう。
正月は、皆と会えないと思っていたから。
独りで過ごさなきゃいけないと思っていたから。
赤葦さんだけでも、会えて嬉しい。
だから、離せないんだ。
でも、私の心情などお構い無しに手が離れた。
「…抜け駆け禁止、っつってんだろ!赤葦!」
後ろから現れた、黒尾さんのチョップによって。
「…なんで、いるんスか。」
「初詣だよ、初詣。」
「黒尾さん、実家遠くないですか?」
「たまにはいつもと違う神社にお参りしようと思ったんだよ。」
2人の言い合いが始まる。
その様子が見れる事が嬉しくて、つい見守っていた。