第1章 皆でわちゃわちゃクリスマス(2016.X'mas)
目が覚めると、目の前に顔。
今までも、何回かあったこのオチに驚きはしなかった。
私に絡む腕は、相手が眠っているから緩んでいて、容易に抜け出せた。
周りを見ると、置かれている3つの箱が目に入る。
どれもメッセージカードが付いていて、私宛である事と贈り主は分かった。
私はプレゼントを押し付けている訳で、受け取り拒否は出来ないな。
溜め息して、箱を開ける。
1つ目は、赤葦さんからのもの。
中身は、ボーダー柄のマフラー。
私の好きな柄、覚えてたのか。
赤葦さんからしたら、当たり前なのかも知れないけど、何気に嬉しい。
2つ目は、黒尾さんからの。
ちょっと分厚い、料理の本。
しかも、専門的なやつ。
嬉しい、けど、高額なのは分かっている。
まぁ、返しても困るだろうな。
3つ目、月島くん。
宝石みたいな、キラキラした綺麗なお菓子。
琥珀糖だっけ、これ。
お菓子を選ぶにしても、嫌いなものであるフルーツを避けてくれた気遣いが分かる。
皆が、私の事を考えてくれた証明のような気がして喜んでいると、後ろで動く気配。
木兎さんが、物凄い勢いでリビングから出ていって…。
「りらちゃん!これ!」
すぐに戻ってきた。
押し付けるように渡された箱を開く。
中から出てきたのは、淡い色のパジャマだ。
別に寝間着を持っていない訳じゃないし、欲しがった覚えもない。
何故これを選んだのか、分からない。
首を傾けて疑問を示す。
「りらちゃんが、何喜ぶか分かんねーんだもん。だから、店員のネーチャンに相談して、だな。
服の趣味分かんねーなら、部屋着なら着て貰えるかもって…。」
あぁ、ちゃんと理由はあったのか。
木兎さんも、それなりに考えてくれたのが嬉しい。
「有難う、御座います。」
両腕でパジャマを抱き締めるようにして、受け取る意思を礼として言葉に出した。