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境界線。【安室透夢小説】

第2章 後ろの正面だぁれ?


安室side

最近、この辺りで起こった児童誘拐殺害事件。
僕らの管轄ではないが、職業病なのか気になってしまう。

今日は公安の仕事があって1日で歩いていたのだ。
その帰り道、公園でふと人影を見つけた。
公園のブランコで1人で遊んでいる少年。

この辺りじゃ見たことない子だな。
何かおかしい。
あんな物騒な事件の後に夕方に子供が1人で外出するのを許す親がいるのか?
そんなことを思いながらその男の子の方を眺めていた。

「........................。」

目が合う。

「こんにちは。1人で遊んでたのかい?お母さん、お父さんは一緒じゃないのかな?」

彼に話しかけながら近寄る。

「こんにちは。.......ママはいないよ。パパも一緒じゃない。」

その子はまっすぐ僕の目を見ていた。
“いない”という言葉がひっかかる。

「....そうか。とにかく、1人じゃ危ないよ。暗くなる前に家に帰らないとご家族が心配するよ。」

男の子の近くまで来ると遠くから見た時より、少し大きく見える。
小学生3〜5年生くらいか。

「どうして危ないの?だって、僕1人じゃないよ?」

........??

辺りを見渡してもこの子以外の人影はない。

「....君、名前はなんていうんだい?」

「僕?僕は、、如月...

『『しゅんくーん。帰るよ。』』

男の子が名前を言い終わる前に後ろから声が聞こえた。

「!!はーい!.......しゅ、しゅんすけっていうんだ。さよなら。」

そう言って男の子は走って行ってしまった。
咄嗟に後ろを振り返るが後ろ姿しか見えない。

しゅんすけという男の子と白いワンピースを着た女。
後ろ姿からの印象はまだ若い。母親だろうか。
公園の角を曲がったがツバの広いキャペリンハット深くまでかぶっているため顔がわからない。

きさらぎ しゅんすけ....ねぇ。






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