第9章 ××はいつも1つ。
くのえside
「.....君の両親は普段から君に対して、殴るなどの暴力を加えており、食事や入浴など十分に与えていなかった。ということかね。」
目暮が知佳くんに投げかける。
「..........................。」
知佳くんは助けを求めるように私を見る。
「.....知佳くん、自分の思いを正直に言えばいいんだよ。」
「.....は...はい。......パパに叩かれて、重たいお酒を買いに行かされて、帰ってくると遅いってまた、叩かれて。ママは、僕のこと、どうでもいいって。ご飯は、学校で一回と夜にママたちが食べた残りを食べます。.....それで...」
「.....辛かったな。聞こえたな!高木くん・佐藤くん!如月知佳くんが虐待を認めた。」
目暮が知佳くんの頭を撫で、 無線のようなもので部下の2人に指示を出しているようだった。
「.....白鳥くん。如月知佳くんは日々の虐待から逃れようと家出。 そんな如月知佳くんを結城 くのえくんが保護。これであってるかね。」
「はい!」
家出?保護?話が進んで行く。
「.....待ってください。でも....私は知佳くんを」
「誘拐したというんですか?」
安室さんも口を挟む。
「.....如月知佳くんは家の中を自由に歩きまわれたし、いつでも家から自力で出られる状態だった。それに、 くのえさんは如月知佳くんのために、彼の食べたい料理を作り、彼の行きたい所に遊びに連れて行った。そんな誘拐犯なんて言いませんよ。ね、知佳くん?」
「......うん!」
「しかし、先ほど自分でも話していたが、君のしたことが100%正しいとはいえない。今後、このようなことが起こらないよう、厳重注意とこのことは、君のご家族とも話をするとしよう。」
「.....はい。」